「冗長で曖昧、意味不明」カマラ・ハリスの初のインタビューを私はこう見る
大統領候補となって初めてメディアの独占インタビューに応じたハリスは、深い論理の迷宮にはまり込んでいた
「私の政策上の観点や決定において最も大切で最も重要なのは、私の価値観は変わっていないということだ」 ■CNNによるカマラ・ハリス独占インタビュー予告編(90秒間) 11月の米大統領選挙に向けて民主党から大統領候補に指名されたカマラ・ハリス副大統領が、8月29日、CNNのダナ・バッシュ記者による独占インタビューに応じた。 この中で、民主党の候補者指名を辞退したジョー・バイデン大統領から後継に指名された後、一部の政策をめぐって以前とスタンスを変えた理由について問われたハリスは、長々と言葉を並べ立ててこう答えたのだ。 世界で最も大きな権力を持つアメリカ大統領になろうとしている人物に対して極めて適切な質問をしたにもかかわらず、バッシュはどこか気まずそうな様子だった。 一方のハリスは、バッシュがどんな問題についても自分を厳しく追及してくることはないだろうと確信している様子だった。 おそらくハリスは、今回のインタビューの主な目的が「メディアの追及を回避している」という批判から自分の選挙活動を守ることだと知っていたのだろう。 だから彼女は、自分の「価値観」が何か、5週間前に事実上の大統領候補になる前に掲げていた政策と大きく異なる政策を支持するようになった理由は何か、あるいは、アメリカ国民が自分を信じるべき理由について説明することはなかった。
わずか27分間、おまけに副大統領候補も同席
CNNはインタビューの放送前に90秒の予告編を公開し、その中でもハリスの冗長で曖昧な回答が紹介されていたが、インタビュー全編はわずか27分間だった。 この時間内にハリスの選挙運動の様子を伝える映像も流され、また副大統領候補であるティム・ウォルズもインタビューに異例の同席をしていたため、ハリスの実際の登場時間はもっとずっと短かった。 同じCNNのアンカー、アンダーソン・クーパーが皮肉を込めて指摘したように、ウォルズの同席はおそらく、ハリスが事前に知らされていない質問にさらされる時間を減らすためだったのだろう。 しかもハリスは、口を開けば、選挙活動の中で避けようとしてきたはずの「罠」に何度も自ら足を踏み入れた。 「大統領就任の初日に何をするか」というバッシュの質問に対して、ハリスは「中間層を支援し、強化する」と答え、アメリカ人は「新たな道に進む準備ができている」と確信しているとつけ加えた。 就任初日の1日で何ができるのかを具体的に述べることはなく、むしろ彼女が副大統領として支えてきたことを「誇りに思う」とインタビューで後に語った現政権による4年間に及ぶ統治を経ても、「中間層が支援を必要としている」理由は何なのかという当然の疑問を引き起こした。 さらにハリスは、アメリカ人がなぜバイデン=ハリス政権のレガシーから逃れて、ハリス率いる「新たな前進の道」を進むべきなのかについても説明しなかった。国民の約80%は、4年前よりも暮らし向きが悪くなっていると感じている中でだ。 世論調査の専門家であるフランク・ランツは、ハリスの回答について「実質的に無価値」で「良いスタートではなかった」と評した。