葛城奈海氏「国家の基本崩すな。毅然とスルーを」 国連女性差別撤廃委の皇室典範改正勧告
国連の女性差別撤廃委員会は29日公表した日本の女性政策に関する最終見解で、皇位を男系男子に限る皇室典範について、女性差別撤廃条約と「相いれない」として改正を勧告した。父方に天皇を持つ男系男子による継承は126代続く皇室の根幹伝統。「皇統を守る国民連合の会」の葛城奈海会長は産経新聞の取材に「毅然と『国家の基本』を継承していく姿勢を貫くべき。勧告はスルーして構わない」と語った。 葛城氏は14日、スイス・ジュネーブで開かれた同委の会合で男系男子について「尊重されるべき」と唱えていた。 ■皇統について保守も発信強化を 葛城氏は同委の勧告(recommend)について「強制力があるわけではなく、『お勧めする』『推奨する』というもので、主権国家として最終的にわれわれの意思で決めればいい」と述べ、「国連というと権威のあるものと信じられる節があるが、きまじめに耳を傾ける必要はない。複数の委員も『国連はほかの王室がある国にも言ってきた。聞くか聞かないかはあなたがた次第だ』と語っていた」と説明する。 一方、「勧告が出たことで、皇室典範の改正を求める声は今まで以上に大きく国内外に響くのも事実だろう。黙っていれば、日本国民の総意として受け取られかねない。皇統について保守側も発信を強化しないといけない」と危惧し、「官民一体となって、皇室のあり方を国連にアピールできるように考えたい」と語った。 ■今回は事前に論点に 同委は前回の2016年審査時も最終見解案に男系男子の継承を女性差別として皇室典範の見直しを求める記述を盛り込み、日本側の抗議で削除された経緯がある。 葛城氏によると、前回は皇室典範の改正について審査の俎上に上がっておらず、最終見解案の段階で突如盛り込まれたという。今回は事前に論点に含まれていたため、政府関係者も懸念を共有していたという。 葛城氏は非政府組織(NGO)関係者がスピーチを行う14日の会合で「ローマ教皇やイスラムの聖職者、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王はみな男性なのに、国連はこれを女性差別だとはいわない。なぜ日本にだけそのように言うのか」と述べ、「世界にはさまざまな民族や信仰があり、それぞれ尊重されるべきだ。内政干渉すべきではない」と訴えた。 日本政府代表団も「皇位継承のあり方は国家の根幹をなす。委員会がわが国の皇室典範について扱うのは適切ではない」と主張していた。(奥原慎平)