おらが町にオーロラが出た! キャリア20年以上の自然写真家も大興奮の撮影秘話
四半世紀にわたって、北海道ならではの絶景や動物たちの姿をカメラに収めてきた佐藤圭さん。夢はいつの日かオーロラを見ることだった。とはいってもアラスカやスカンジナビアの国は遠くて簡単には行けないし……と思っていたら、な、なんとご自身が住む北海道小平町にオーロラが出現したのです。 【写真】圧巻…!超貴重な「日本のオーロラ」を見る!
家から車で3分の海岸に現れた!
5月11日夜、ボクが住む町で人生初のオーロラの撮影に成功しました。 数日前から、大規模な太陽フレアの影響で磁気嵐が発生し、北海道でもオーロラが観測されるかもと報道されていました。 しかし、過去にもそういう報道があって、何度も撮影に出かけましたが、オーロラが出たことはありませんでした。 これまで北海道でオーロラが観測されたのは陸別など内陸の町で、今回も、さすがに日本海では見られないよな~と、のんびり夕飯を食べていたのですが、テレビで、ここからそう遠くはない北海道の名寄市でオーロラが観測されたというニュースが流れていました。 そうは言っても名寄天文台の高性能なカメラじゃないと写せないレベルなんじゃないの~と疑いつつ、万に一つの可能性に賭けて、車で3分ほどの海岸に出てみました。 周囲はまっ暗。月は水平線に沈みかけており、星は空一面に瞬いていますが、オーロラらしい兆候は全く見えません。 一応試しにと思い、カメラを取り出して高感度撮影をしてみると……なんと! 空が見たこともないような美しい赤に染まっていました!! その瞬間、一気にスイッチが入り、自分らしくこのオーロラを表現できる構図を探し始めました。 こんな稀少な自然現象がボクの住む町に現れたことを記録するのが一番だと思い、なるべく人工物を入れてこの町で撮影したことを表現することにしました。
気がつけば4時間半も撮影
北海道の日本海沿いには通称「オロロンライン」と呼ばれる国道が走っており、国道は明るくて星空やオーロラ撮影には向かないのですが、ボクが住む町はかなりの田舎なので、漆黒の闇がたくさん存在します。 この季節は冬眠明けのヒグマたちが徘徊していますから、充分に警戒しながら数ヵ所で撮影しました。 どうせオーロラは出ていないだろうと、パジャマ代わりのスウェット姿で気軽に家を出たのですが、あまりの衝撃に撮影に没頭し、気がつけば4時間半も撮影してしまいました。 夜中の1時30分過ぎには、オーロラは薄くなりました。 人生でもう二度とないような天体ショーを、この目で見ることができてとても幸せな気持ちです。 死ぬまでに一度はオーロラを見てみたい! いつの日かお金を貯めてカナダのイエローナイフかニュージーランドに行って撮影したい! と夢見ていました。 まさか地元で夢が叶うとは想像もできませんでした。 自然は神秘的で、ボクの想像を軽々と超えてきます。改めて自然の面白さに感動した夜でした。
佐藤 圭(写真家)