仕事の悩みが楽になる「神回答」、“怒れない人”に対するカズレーザーの答えは
「即答しづらい質問」にどう対応するべきか?(俳優/ティモシー・シャラメ)
もし、志を同じくしてともに働いた仲間に、不祥事の疑惑がささやかれたら、どんな態度をとるべきだろうか。 アメリカの俳優ティモシー・シャラメは、そんな難しい立場に立たされていた。 シャラメにとって、2021年3月にレイプ疑惑で女性から告発されたアーミー・ハマーは、2017年の映画「君の名前で僕を呼んで」で共演した仲間である。 続編も予定されていたが、ハマーの疑惑が持ち上がったために、撮影は頓挫してしまっている。 「タイム」誌のインタビューで、ハマーの疑惑について聞かれたシャラメ。ハマー自身は、すべての不正行為を否定して「関係は合意の上だった」と主張している。だが、多数のプロジェクトから外されて、所属事務所からも解雇されている状態だ。 どんな答え方をしても、誰かを傷つけてしまいそうななか、シャラメが答えたのがこの言葉である。 「あなたがそれを尋ねる理由はよくわかる。でも、もっと長く話すべきことだし、今ここで部分的に答えることはしたくない」*2 実質的には「ノーコメント」なのだが、ここまで丁寧かつ誠実に心情を表現されると、腹にストンと落ちる。 ことの重大さを伝えつつ、被害者にも不快感を与えることはない。25歳にして見事な回答だといえるだろう。 〔神回答ポイント〕 結論がまだ出しにくいことを聞かれたら、その場で無理に即答することはない。気持ちが揺れ動いているならば、その胸中も伝えてしまおう。
やりたい企画ができないときにはどう考える?(ミュージシャン/矢野顕子)
「超個性派シンガーソングライター」と表現されることもある、ミュージシャンの矢野顕子。 独創的な歌声で優しい世界観を創り上げる――そんな矢野ワールドに魅せられた一人が、アーティストで俳優の「のん」だ。矢野への憧れをこう語っている。 「歌声、曲、ピアノの演奏だけでなく女王様のような存在感も、矢野さんの全部が好きでどうしてもお会いしたかった」 その願いは、2017年に刊行したフォトブック『創作あーちすとNON』(太田出版)の企画で実現する。 「どうやったら、やりたいことを貫いている矢野さんのようになれるのですか?」と尋ねたときに、矢野から返ってきたのが、次の言葉である。 「好きなことをやり続けたら、まわりがあきらめてくれるのよ」*3 自分にやりたいことがあり、誰かに認めてもらう必要があるとき、人はどうしても相手を説得しようとする。しかし、価値観は人それぞれで、意見を変えさせるのは簡単ではない。説得を重ねているうちに、つい苛立ちを覚えてしまうことも……。 「説得する」のではなく「やり続けてあきらめてもらう」という矢野の「神回答」は、まさに発想の転換だ。のんもこう感服している。 「こんな言葉は矢野さんからしか聞いたことがない。かっこいいなと思いましたね。余計なことを考えずに、シンプルにやりたいことをやろうと思うようになりました」 説得せずとも許される範囲で、まずは小さな一歩を踏み出そう。相手の意見を変えることよりも、自分の「やりたい」という気持ちをより高めていこうではないか。 〔神回答ポイント〕 偉人のナイチンゲールは、裕福な家に生まれたため、看護師になることを猛反対されたが、病院見学を積み重ねて、両親をまさに「あきらめさせた」。まずは小さな行動から。