介護サービス「経営改善」のための政策パッケージ 特設ページが開設「うまくいった事例」による学びも
介護サービス市場では、多くの企業が人材確保に苦労している。その中で、介護施設・事業所が安定的に必要な事業を継続し、将来的により複雑化したニーズに対応するためには、テクノロジーを活用した介護現場の生産性向上や、協働化・大規模化等による更なる経営改善の取り組みが必要と考えられる。 介護現場の生産向上に向けた一例として介護ロボット等についての全国の相談窓口と連絡先の案内を画像で見る
協働化・大規模化を推進する政策パッケージを策定
厚生労働省は、介護施設・事業所の経営改善を目的に、協働化・大規模化を推進する政策パッケージを策定し、特設ページを開設した。このパッケージの周知に向け、関係団体に事務連絡も行われている。今年6月の「デジタル行財政改革」では、小規模経営の改善が重要な課題と指摘され、今回の政策はその対応策の一環として打ち出された。 介護現場の生産向上に向けた一例として介護ロボット等についての全国の相談窓口と連絡先を掲載 特設ページより:https://www.mhlw.go.jp/kaigoseisansei/pf/
3段階に分かれた内容
政策パッケージは、介護事業者の経営改善を3段階でサポートする仕組みとなっている。 1)「経営課題への気づき」では、協働化・大規模化による成功事例を公開。6法人(小田原福祉会、北筑前福祉会、九十九里ホーム、妻有地域包括ケア研究会、福智町社会福祉連携協議会、やまがの介護協働推進ネットワーク)の事例をもとに、事業の連携や規模拡大をすると、どのように経営を改善するか具体的に示している。また、相談窓口の紹介も行っている。 2)「協働化・大規模化に向けた検討段階」では、「社会福祉連携推進法人認定申請マニュアル(2023年度版)」で手順を確認できるようになっており、あわせて社会福祉法人の合併手続きや、第三者からの支援・仲介に必要な経費を支出できること、役員の退職慰労金に関するルールについて明確化している。 3)「協働化・大規模化の実施」では、小規模法人のネットワーク化や社会福祉法人の立ち上げに関しての実行支援や、融資の相談窓口の設置などの案内をしている。
今後の活用と期待
特設ページは今後、経営改善に向けた新しい支援策や事例が随時更新され、介護事業者にとって活用しやすいツールとなる。協働化や大規模化を進めることで、経営の安定化のみならず、現場の労働環境改善にもつながることが期待されている。政策の広がりとともに、介護業界全体での経営改善が目指されている。 構成・文/介護ポストセブン編集部