シャネル 、6年にわたる商標権侵害訴訟で勝訴。顧客への誤解が焦点に
ラグジュアリーファッションブランドのシャネル(Chanel)と、ファッションブティック兼オンライン小売業者のワット・ゴーズ・アラウンド・カムズ・アラウンド(What Goes Around Comes Around、以下WGACA)の間で進行していた訴訟は、2月6日、裁判所がすべての点においてシャネルに有利な判決を下し、WGACAが400万ドル(約6億円)の損害賠償をシャネルに支払うという判決で幕を閉じた。追加の損害賠償については、裁判後の双方からの準備書面において検討される。
顧客に誤解を招いているかが焦点に
両社間の訴訟が始まったのは2018年で、WGACAにシャネル製品を再販する能力があるか、そしてシャネルの商品の真正性を保証する能力があるかを中心に争われていた。シャネルは、ザ・リアルリアル(The RealReal)などのほかの再販業者に対して主張しているように、販売されている商品がシャネルの正規品であることをシャネル以外の誰かが保証できるという考えに異議を唱えている。この長期にわたる対立には、WGACAがソーシャルメディア上でシャネル創業者のココ・シャネルの名言を使用したり、10%オフとなるCOCO10などの割引コードを使用したことも含まれていた。シャネルは、これらの事例がWGACAとシャネルが正式に提携しているという誤った印象を消費者に与えていると主張していた。 このような法的紛争においては、多くの場合、合理的な顧客が2社間の関係について本当に誤解しているかどうかが焦点になる。ブティックや再販店には元のメーカーの許可なく中古品を販売する法的権利があるが、WGACAやザ・リアルリアルなどの企業はマーケティングにおいてトラブルに見舞われている。 たとえば、ココ・シャネルの引用に関するWGACAの主張は、声明には著作権はなく、したがってWGACAには引用を使用する権利があるというものである。実際、シャネルが著作権侵害を訴えていない事実はその主張を裏付けている。 しかし、シャネルの法務チームは、1月31日、法廷において、マッカーシーIP・技術法律インスティテュートのディレクター(McCarthy Institute for IP and Technology Law)でありシャネルの専門家証人のデビッド・フランクリン氏とともに、消費者のあいだには実際に混乱が生じていると主張した。フランクリン氏は200人以上の顧客を対象に高級品とショッピングに関する調査を行い、WGACAで入手できる製品がシャネルによって正式に承認されていると信じているかどうかなどについて尋ねた。ある質問に対してはさまざまな回答があり、「WGACAは何をしているか?」という質問に「ハンドバッグの製造」と答えた回答者が23%いた。それはWGACAが行っていることではなく、誤解に関するシャネルの主張を支持するものだった。 しかし、WGACAの弁護士が指摘したように、別の形式で同じ質問をした際にはWGACA側の主張を裏付ける結果となった。回答者にWGACAが販売しているシャネルのバッグの画像を見せて、製造者を尋ねたところ、93%がシャネルと答えたのだった。