初めて登る月山に期待が膨らむ! ご褒美は「月山のゼブラ模様」残雪のなか一歩一歩進む月山登山ルポ
五月末の東北山旅は月山へ。筆者にとっては登ってみたいと思いつつも、これまで一度も登ったことのない初見の山です。山形県のほぼ中央に位置し、標高は1984m。古くから信仰の対象であった出羽三山の主峰であり、一帯は日本でも有数の豪雪地帯として知られています。 【写真】残雪のなか歩む月山登山を見る(全8枚) ほかのスキー場では雪がなくなって次々とクローズしていくなか、4月中旬になってようやく道路の除雪が完了。月山スキー場は、ほかのスキー場のメインシーズンである冬季はアクセスすることができず、そのかわり7月頃まで滑れる夏スキーのメッカなのです。 この季節は、谷筋などに残った雪がゼブラ模様を描いて、独特の景観になることで有名。「月山のゼブラ模様を見に行こう!」が今回のテーマでした。
またしても怪しい雲が出現
月山へ向かう車中、月山湖のあたりから山頂がちらりと見えました。ところが……、今日は、天気は下り坂の予報ながら、午前中は晴れるはず。まわりはすっきりとした快晴なのに、なぜか月山の山頂にだけ、傘雲がかかっているではありませんか。 「昨日もミラクルなお天気だったし、きっと今日も大丈夫!」と、あまり根拠のないことを口々に呟きながら登山口へ。 今回は、月山スキー場のリフトを使ってラクをする作戦です。スキーリフトを使えば、標高1520mまで歩かずに登ることができるのです。下りリフトには乗れないのですが、片道だけでもコースタイムを1時間半くらい短縮できます。 ただ、スキーヤーで混みあうことが予想されるため、遠方から来ていて時間制限のある我々は、早朝に到着しておくことが必須。朝4時台に起きて、朝食も摂らずにとりあえず現地へ急ぎ、なんとか駐車場を確保。リフトのチケット売り場も朝から大行列になっていましたが、30分ほど並んでようやく購入。スキーヤーに混じってペアリフトで山上駅へ。リフト座席から後ろを振り返ると、残雪がくっきりと美しい朝日連峰が一望できました。
いよいよスノートレッキング開始
リフト上駅から上部はほぼ雪に覆われています。朝からよく晴れて日差しが降り注ぎ、雪による紫外線の乱反射がきつい。樹林がないので木陰もなく、日焼けリスクはかなり高い状態。 冬山登山でも紫外線対策はマストなのですが、初夏の場合は冬に比べて紫外線量がかなり多いので、注意が必要です。女子たちはせっせと日焼け止めを塗り、庇(ひさし)の深いハットと「ヤケーヌ」というフェイスカバーで完全防備する人も。 雪質は、ザクザクの濡れザラメ。滑り止めなしでも歩けなくはないですが、念のためチェーンスパイクを装着して登ります。トレッキングポールには、雪用のスノーバスケットを付けました。 もっと気温が低くて、雪が固く凍結している場合は、前爪のあるちゃんとしたクランポンが必要なのですが、事前に気温の予報と現地情報を確認して、今回はチェーンスパイクを選択しました。まずは、1670mの姥ケ岳を目指して登ります。 最初のピーク・姥ケ岳までは、わりと傾斜があります。落ちて死ぬようなところではないですが、滑り止めを付けていなかったら、ちょっと緊張しそうな雪質。しかし、周囲には雄大な眺望が開け、景色を見ていると、テンションが上がります。 ところで、不思議なことに、姥ケ岳から先の稜線には、雪がまったくないのです。完全に別世界になります。そして、ササとハイマツが生い茂ったなだらかな尾根の向こうには、白い雪に彩られた鳥海山の雄姿が……! カッコいい! 残雪期ならではの山の景観を楽しみながら、いよいよ月山の山頂を目指します。
根岸真理