九共大の急成長左腕がリーグ戦初先発で無安打投球【福岡六大学野球】
◆福岡六大学野球秋季リーグ戦第1週第2日 九共大7―0(7回コールド)福工大(8日、九共大) リーグ戦初登板の左腕が大きな勝利を挙げた。先発の田中心晴(3年・長崎総合科学大付)が5回を無安打に抑える好投で、春のリーグ戦で2連敗した福工大に2連勝し雪辱した。 ■長崎総科大付高から九共大へ田中心晴の球歴【写真】 これまでリーグ戦の登板は春の九工大戦での救援の1イニングのみ。初めての先発に「緊張しました。でも左打者も右打者もインコースにしっかり投げることができて良かった」。次々と打者を打ち取り、2四球1奪三振で先発の役目を果たした。「(捕手の)笹原(愛斗)さんがしっかり大きく構えてくれて集中して投げられた」。内野手も初先発の田中心に声をかけてもり立てた。 直球の最速は144キロ。この夏はポール間走り40本などをこなし、社会人チームなどとのオープン戦10試合で先発し経験を積んだ。都市対抗野球に出場したKMG戦では先発して3回を投げて4失点。「点は取られたけど得るものはありました。直球だけでなく変化球でカウントを稼いだりしなくてはならないと分かった」と手応えをつかんだ。「オープン戦でいい投球をしていたので先発で使いたいと思って2戦目で投げさせました」という上原忠監督の期待に見事に応えた。 父の寿宜さんは社会人チームNTT九州の捕手としてプレーした。小学3年で野球を始めてから父の指導を受けてきた田中心は「大学で野球をやるなら強いチームでやりなさい」と父からアドバイスをもらい「九産大を倒して神宮に行きたい」と九共大進学を決めた。父は仕事の都合で応援に来られず、初先発のマウンドを見せることはできなかったが「自信をもって頑張りなさい」とLINE(ライン)で激励のメッセージを送ってくれた。 調整中の右腕エース稲川竜汰(3年・折尾愛真)ら主戦投手が登板できない状況で、田中心の好投はチームにとっては明るい材料だ。待望の初勝利を手にした急成長中の左腕は「個人タイトルはいらないので、チームが日本一になるために腕を振っていきたい」とV奪回を目指すチームのために勝利を重ねていく。 (前田泰子)