【記者解説】解散か退陣か?岸田総理に残された道は(ポスト岸田は誰)
今回、派閥解散後初めての総裁選になりますが、実質的には派閥と同じような動きになるんでしょうか。 今野氏「基本的になんで派閥がなくならなかったかというと、総裁選の度に復活してるんですよ」 水内氏「岸田さんが出るとなったら旧宏池会の人々は集まって出るだろうし、二階派だって集まっている。もとトップにいた人や力のある人が声を上げれば動くような構図にはなるんじゃないかな」 現在、自民党の議員は衆参合わせると373人。この人数がひとつにまとまれるわけがない、と今野氏は指摘します。 先日、『一片冰心 谷垣禎一回顧録』を出版した水内氏は、谷垣氏が派閥がなくなることで党内のガバナンスは本当に大丈夫なのか、と懸念していたと語ります。 水内氏「それに関連していうと、岸田さんが一気に宏池会を解散し、雪崩を打つように派閥が解散になった。党内にそこはかとない恨みがあるのではないか」
今野氏は、岸田総理が総裁選に出られない可能性を指摘します。 現職の総理総裁が負けたのは福田赳夫氏のたった1回。福田氏(のちの安倍派)が総裁選の予備選で敗れ、「天の声にも変な声がたまにはある」の言葉で有名になった、大平正芳内閣誕生時の時です。 この時福田氏が敗れたのは、当時ロッキード事件で自民党を離党していた田中角栄氏率いる田中派(のちの平成研・茂木派)が大平派(のちの宏池会・岸田派)に協力したとされるからです。 ただ、実際には勝敗を決する前に、現職の総裁が出馬できなくなるケースがあります。 今野氏「(出馬できなくなる)菅さん、谷垣さんのパターンはじゅうぶんあり得る」
次の自民党総裁は「選挙の顔」どんな人を選ぶ?
MC伊藤「そうなるとどなたが?」 岸田氏の後任と目されるのは、岸田派のナンバー2である林芳正官房長官と、上川陽子外務大臣です。 水内氏は、人材マネジメントを含めた政権運営の能力に着目します。 水内氏「宏池会として推すのは林さんのような気がしますけどね。ふたりとも政策通だと思うけれど、政権運営に人を動かすには。上川さんは頭はいいし、政策もいいっていうキャリアもあるけれど、どろっとした部分にはもう少しキャリアがいるのかなという評価もある」 一方、今野氏は別の観点を提示します。 今野氏「水内さんの言うところもわかるけど、難しいのはね、バロメーターになるのは1年以内にある選挙の顔、表紙」 衆議院の選挙は1年以内、現在過半数の議席を確保している参議院の選挙も来年の夏に迫っています。 今野氏「誰が表紙だったら選挙に勝てるかになるから。マネジメント能力とか関係なくなると思う。女性初の総理総裁か、単純に国民人気で石破さんを擁するのか。人気投票に近い総裁選になりかねない」 水内氏は「若い人を担ごうという動きもある」という観点も示し、今野氏も「自民党の得意な疑似政権交代だね」と呼応します。 水内氏が候補に上げたのは、小林鷹之衆議院議員(内閣府特命担当大臣・経済安全保障)。 水内氏「まだ40代だけど、政策通で保守論もしっかりしている。すらっと背が高くて甘いマスク。G7に出ても見栄えがいいだろう」 今野氏「将来の総理候補って言われるよね」 齋藤健衆議院議員(経済産業大臣)にも、総裁選候補の多様化を期待する閣僚経験者から総裁選への出馬要請があったと示しました。 今野氏「岸田さんが仮に出るとしたら、乱立させるしかない」 水内氏「岸田さんが出るならいろんな人が出て、票が減る中で結局ぽこっとちょっと出る感じで勝つと思う」 MC伊藤「で議員票で競り勝つと」 今野氏「乱立する中で、齋藤健さんとかコバホークさん(小林鷹之衆院議員)が出てきたら刷新感。石破さんだって還暦を過ぎてるからね。そうなってくると俄然、一気に若い人に人気が集まるようなことも、なくはない……」 水内氏「静かな夏になるのか、熱い夏になるのか。我々もいつ夏休みを取ったらいいのかみたいな、ね」 総裁選の行方に加え、政治記者コンビの夏休みの行方にもご注目ください!