【名古屋市長選】「市民税減税」が争点の一つに 市民の減税に対する思いと候補者の主張
候補者たちの考えは…
年間で、約100億円に及ぶ市民税の減税。 市長選に立候補している候補者たちは、どう考えているのでしょうか。 河村前市長の後継とされる、前副市長の広沢一郎氏(60)は―― 「河村市政の原点である市民税10%減税、これをもう一回やりたい。減税幅を倍にしたい」(無所属・新人 広沢一郎氏) 減税の継続とともに、河村前市長が当初掲げていた「10%減税」へ減税幅を引き上げるとしています。
減税継続の是非を判断する考え
これに対して、前参議院議員の大塚耕平氏(65)は―― 「議会、市民のみなさんに説明したうえで、減税は効果があれば続けるが、効果がなければ、財源の使い方をまた考えないといけない」(無所属・新人 大塚耕平氏) 減税の効果などを検証し、継続の是非を判断する考えを示しました。
反対の立場を明らかにしている候補も
政治団体共同代表の尾形慶子氏(67)は―― 「利用できるはずだった行政サービスを削って、毎年100億円分ずつ削っていった。超不公平な金持ち減税はやめないといけない」(無所属・新人 尾形慶子氏) いまの減税施策の継続には、反対する立場を明らかにしています。
減税の継続か廃止で考えが分かれる
元会社員の太田敏光氏(76)は、インフラを充実させるため、減税を廃止する考えを示しています。 旅行会社社長の水谷昇氏(61)は、福祉などの費用へと回すために減税の「即刻廃止」を訴えています。 元大学講師の不破英紀氏(64)は、社会保障制度などを充実させるため、減税額を減らす考えを示しています。 元自治大学校教授の鈴木慶明氏(85)は「景気が回復していない」として、減税の「継続」が必要だとしています。
減税しても、経済の押上げ効果は限定的
そんな減税の効果について、地域経済に詳しい名古屋学院大学の江口教授に聞くと―― Q.減税の効果について 「市民の手取りが増えたのは事実で、喜ぶのは確かだと思うが、経済にとってどちらがプラスかは、市民税減税をしない方がプラスになります」(名古屋学院大学 江口忍教授) 減税しても貯蓄に回る分があるため、経済の押上げ効果は限定的になると指摘します。一方で―― 「例外的な場合ってあり得る。名古屋市が市民税減税をやると知った近隣の市民が、『名古屋市は市民税が安いから引っ越しましょう』と。納税者が増えることによって税収が増えるので、それはプラスになる」(江口教授)
行政が税金の使い方を工夫したかが重要
また、減税による経済効果の検証は難しいとした上で、行政が税金の使い方を工夫したかどうかが重要だと話します。 「名古屋市が、本来やらなくてはいけない事業をやらなかった、あるいは支出をケチった。そういうことで100億円をつくったとすれば、それはマイナスになる。そこを含めた検証をしないと、減税の意義は判断できない」(江口教授)