旅客機墜落、アゼル側原因究明求める 現地は批判報道、外交問題化も
アゼルバイジャン航空の旅客機がカザフスタン西部で墜落し38人が死亡したことを巡り、ロシアのプーチン大統領は28日、アゼルのアリエフ大統領との電話協議で謝罪した。ただ、露軍の防空システムによる誤射の可能性には触れなかった。一方、アリエフ氏は29日に、墜落した旅客機がロシア領内からの攻撃で損傷したと指摘するなど、責任の所在を明らかにするよう求める姿勢を崩していない。 【写真】墜落したアゼルバイジャン航空の旅客機 プーチン氏は電話協議で「ロシア上空で悲劇的な事故が発生した」と謝罪。旅客機は何度も露南部チェチェン共和国グロズヌイの空港に着陸しようとしたが、現地ではウクライナ軍の無人機攻撃を受けており、ロシア軍の防空システムが迎撃していたと説明した。露大統領府が発表した。 一方、アリエフ氏は28日の段階で、旅客機について「露領空内で外部からの物理的、技術的影響を受け完全に制御不能になった」と指摘していたという。機体に多数の穴が開いていることや、飛行中に外板を貫通して機内に入ってきた異物で乗員や乗客がけがをしたことを挙げ、外部から何らかの攻撃を受けた可能性を示唆していた。 アゼル大統領府も「両首脳は悲劇の全容を徹底的に調査し、責任の所在を明らかにする必要について議論した」と強調していた。 プーチン氏は28日、事故調査を担うカザフスタンのトカエフ大統領とも電話協議した。露大統領府によると、カザフの事故調査委員会にはロシアやアゼルバイジャンのほか、旅客機を製造したブラジルの専門家が参加してフライトレコーダー(飛行記録装置)などの解析を行い、「作業はカザフ領内で実施され、客観的で透明性のあるものになるだろう」としている。 欧米やアゼルのメディアは、ロシアの防空システムによる誤射との見方を強めている。旧ソ連を構成したアゼルはロシアの友好国だが、現地メディアでは旅客機墜落を巡ってロシアに批判的な意見も報じられている。調査の結果、誤射と確定した場合、ロシアの対応によっては外交問題に発展する可能性もある。 ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、X(ツイッター)で「機体の損傷は、防空ミサイルで撃たれたことを強く示唆している」と指摘。ロシアは「明確な説明」をしなければならないと強調した。【モスクワ山衛守剛】