『大奥』から考える「もしロシアやイスラエルの指揮官が女性だったら」
4月2日に放送された「クローズアップ現代」は「”プーチンの戦争”あらがう女性たち」というテーマだった。また4月26日からはアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画『マリウポリの20日間』が日本でも上映となる。 【写真】ここからもう四半世紀…初めて「大統領」となった年のプーチン氏 2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻から2年以上たった中、ガザではイスラエルとハマスの戦争がおさまらず、人が人を傷つけ、殺め続けている。 そして争いは「政治」と深くかかわる。攻撃を決断するのは政治だ。 では、もし指揮官が女性だったら、どうなるのだろうか。 ジャーナリストの浜田敬子さんはよしながふみさん原作でドラマ化されたNHKの『大奥』に遅ればせながら2024年になって観て、大いにハマったという。そしてこの作品から、世界で、日本で、「女性の指揮官」の重要性も感じるという。それはどういうことなのか。
2023年の「大奥ロス」
2023年暮れ、NHKで1年にわたって放送されてきたよしながふみ原作のドラマ「大奥」が完結した時、私の周囲では大勢の「大奥ロス」に沈む女性たちがいた。 舞台は江戸時代。赤面疱瘡という若い男性だけがかかるという謎の疫病によって極端に男性の数が減ったことによって男女の役割が逆転するという設定。歴代将軍も歴史上有名な人物も全て女性になる。 漫画が連載されていた時点から、社会的な男女の役割が逆転した物語という設定だけは知っていた。面白そうだと思いながら、忙しさにかまけて見ていなかったのだが、なぜここまで女性たちの琴線に触れるのか、心を揺さぶるのか。それを知りたくて、今年の正月休みに見始めてたら一気にハマってしまった。最後まで見終わった時には、しばらくその世界から抜け出せず、夢が江戸時代になった。 それは単に男女が逆転したことによる爽快感だけではない。登場人物が発するセリフの一つひとつから発せられるメッセージが、今の社会にこそ必要とされるものだったからだ。もし政治のトップに女性が就いたなら、もっと政(まつりごと)に多くの女性が関わったならーー。この壮大なifのパラレルワールドが現実になったら。それはそのまま現代のジェンダー後進国である日本への強烈なメッセージにもなっている。