「えっ…オフィスなの?」 本社移転から1周年を迎えた日本ミシュランタイヤの「進化」を見に、群馬の新オフィスへ行ってみた
そもそも、本社移転に至った経緯としては、コロナ禍を経たことが大きかったといいます。コロナ禍以前は東京本社に130人、群馬に240人が在籍しており、勤務地をベースとしたキャリア選択となっていたことや、複数拠点による分散投資、知財の分散、他部署との交流や協業の機会が少ないといったジレンマを抱えていたのです。 しかしコロナ禍を経て社員はリモートワークをマスターする一方で、対面で仕事をすることの価値を再認識。きっと、ポストコロナでは新しい働き方ができるはずだということと、災害等によって都市機能が停止した場合のリスクも懸念されていたことから、本社移転を決断しました。 実は群馬県は関東の中で最も震度4以上の地震の回数が少なく、過去10年間で罹災(りさい)世帯が最も少ないというデータがあるそうです。 台風の影響を受けにくく、全国で水害と土砂災害が最も少ないレベルであることから、群馬県は事業継続率が高いと判断。都心からも通える距離であるということも決断を後押ししたようです。
社長が語る、移転1周年でわかったさまざまな「進化」とは
「進化」の1つめは、人の尊重ということで、部署横断型意見交換会や快適なオフィスをつくるための勉強会などを行い、部署間協業の活性化が進んでいることです。 社員300人が参加した「ワクワクフェスティバル」などさまざまなイベントを行い、どの部門がどんなことをやっているのかを互いに知ることでキャリアパスが広がっているといいます。これによって「集合知」を結集した意思決定ができるようになっていることは大きな進化だと感じました。
「進化」の2つめは利益の尊重ということで、2024年の物流問題に群馬大学や近隣企業と産官学で取り組み、成果を確認できたことです。CO2排出量を見える化し、自動リポート生成によって整備作業者と運行管理者の間で同じ認識が持てるように。 繁忙期前の計画的なタイヤ購入や交換につなげる可能性や、緻密な管理で効率的に摩耗末期まで使い切ることの重要性を示しています。これによって、人にも地球にもやさしいソリューションを可能にできることを確認したといいます。 「進化」の3つめは地球への尊重で、持続可能な事業展開への取り組みを社内だけにとどまらず、地域の子どもや学生、企業や自治体とともに広げていけること。地域とのつながりが増え、人材育成やボランティア活動に取り組むことで、ダイバーシティとインクルージョン、サステナビリティへの意識が着実に高まっているといいます。 また、移転前にはなかったという「ビジネス以外での協業」が行われたことも進化といえそうです。同じ群馬県太田市に拠点を置くSUBARUから、日本ミシュランタイヤのイベントへの応援参加やフォーラムでのトークセッションなどがあり、そういった取り組みを今後も積極的に行っていきたいと語っていました。