四国IL・驚異の三冠王、猛練習を支えるDeNA・井上絢登の言葉「NPBで待ってるからな」
「NPBで待ってるからな」 四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスで主将を務める寺岡 丈翔外野手(東福岡-福岡大=2年目)が昨秋のドラフト直後に交わしたやり取りだ。相手はDeNAから6位指名を受けた井上 絢登内野手(久留米商-福岡大-徳島IS)。小・中・大と同じチームでプレーし、一学年上ながら”ケンティー”と呼ぶ間柄のエールは今もなお、励みになっているという。 【動画】怪物ぞろいの独立リーガー 「やっぱり憧れますし、刺激になります。でもいつか超えていかなければいけないので、今はそのために頑張っています」 50メートル5.9秒の脚力と地肩の強さが売りの23歳。遠くまで打球を飛ばす力も兼ね備える身体能力の高さが魅力だ。1年目はリーグ戦68試合全てに出場したが、打率.232、4本塁打、27打点と持ち味の打撃でアピール不足に終わり、ドラフト当日は会場の後列からチームメイトの指名を見守った。 運命の日を迎えてから1週間足らず、寺岡は既に次のシーズンに向けた練習に取り組んでいた。 「昨年までは大振りなスイングでしたが、岡本 哲司監督にも指導いただき、振りを小さくしました。コンパクトなスイングに変えたことで、より体の近くで球を捉えることができるようになり、確率も上がるようになりました」 オフから取り組んだ打撃改革が功を奏し、オープン戦から好調を維持した。シーズン開幕後も打ち続け、最終的には.378でリーグ3位の高打率を記録している。さらには、6本塁打、43打点、14盗塁で3冠を獲得し、圧倒的な成績でチームを勝利に導いてきた。 好成績の要因は徳島の環境が起因している。岡本監督は寺岡の活躍をこう分析する。 「寺岡は数字の面ですごく貢献していますが、2年目の柏木(寿志内野手・九州文化学園-兵庫ブレイバーズ)、角井(亮太内野手・生駒-龍谷大)の存在も大きいです。成績が落ちるとものすごく練習していますし、自分の目標に向かって取り組む姿勢は寺岡の支えになっていると思います」 決して個人の力だけではない。一人ひとりの選手たちが取り組む姿勢を指揮官は高く評価している。寺岡も、「徳島に入ってから一番変化したのは練習量」と話し、「全体練習の前後で各選手がそれぞれの課題に取り組んでいます。みんなやっていて、意識が高いなと。みんなやっているけど、自分が一番でありたいですね」と主将としての覚悟を口にしていた。 後期もアピールが続けば、夢だったNPBも現実味を帯びてくる。 「順位とか関係なく、しがみつきたいですね」 憧れの井上と再び同じ舞台に立つ日も、そう遠くは無いかもしれない。