109Gもの衝撃を受け、気絶……インディカーで大クラッシュのロブが戦慄のアクシデントを振り返る
アイオワ・スピードウェイで行なわれたインディカー・シリーズ第11戦のファイナルラップでは、多くのマシンが絡む多重クラッシュが発生した。中でも宙を舞い大きなインパクトを受けたスティング・レイ・ロブ(A.J.フォイト・レーシング)が、当時の状況を振り返った。 【動画】スティング・レイ・ロブ、クラッシュで宙舞う。|インディカー第11戦アイオワ ロブは最終ラップのターン2立ち上がりで、ガス欠症状でスローダウンしていたアレクサンダー・ロッシ(アロー・マクラーレン)の左リヤに乗り上げたことでマシンが宙に浮いた。マシンは数回回転した後、逆さまになって着地してバックストレッチを滑っていった。 セーフティチームがマシンをひっくり返してロブを救出。近くの病院に搬送されたが、本人は意識もある状態で、数時間後に退院した。 メディアの取材に電話で応えたロブは、アクシデントに関する見解を次のように語った。 「最初のピットストップでは、タンクに半分ほどしか燃料を入れなかった。だからタンクが軽い状態で、最後のスティントでは燃料をかなりセーブしていたんだ」 「燃料をできるだけ節約しようと必死だったから、後ろのグループを引き止める形になってしまったんだ。僕はエド(カーペンター/エド・カーペンター・レーシング)と争っていたけど、良いバトルができた」 「最後の数周は、ロッシのペースが落ちているのが見えた。どの程度かはわからなかった。ターン1に進入する時に彼の位置を見上げて確認したけど、コーナーの4分の3くらいを過ぎたあたりから、接近していくのが分かった。(ロッシの姿は)かなり大きくなった」 「あのスピードでコーナーを抜けながら、相手のドライバーが何を考えていてどういう状況なのか分からないまま接近していくというのは最悪のシナリオだ。シミュレータのようにリセットボタンを押して、もう一度やり直せたらよかったのに……きっと彼も同じことを考えていただろう」 「あの事故では4台のマシンが大破してしまった。その全員が無事で、(次戦)トロントに向かう準備ができているという事実に感激している」 ロブがクラッシュによって受けた衝撃は109Gにも上ると言われている。しかしながら彼は、今週末トロントのストリートコースで開催される第12戦に出走する許可が出ているという。 とはいえ大きな衝撃を受けているため、痛みや打撲がないわけではない。彼はクラッシュして滑っていくマシンがスローダウンしていく中で、簡単な“セルフチェック”を行なったという。 「一瞬息ができなくなった」とロブは言う。 「ベルトもちゃんと仕事をしていたし、全てがちゃんと役目を果たしていた。裂傷だとか、そういった異常もなかった。ベルトで締め付けられていたからお尻の方には打撲があった」 「クルマから引っ張り出されたとき、頭がボーッとして、朝ベッドから急に起き上がった時みたいで、星が見えた。そんな感じで、かなりしんどかった」 それから、ロブは意識を失ったという。 「どのくらい気絶していたかわからない。あっという間だった。意識が戻った時は『気分が良くない』という感じだった」 「すぐにストレッチャーに寝かされた。脱水症状なのか、248周も左回りをしたことで目まいを起こしているだけではないのか、そういった確認をするための予防措置だった」 「ストレッチャーに寝かされてからは、気分は良くなった。視界もはっきり見えた。点滴につながれたことで、すぐにエネルギーが戻ってきたのを感じた」 「ヘリコプターで運ばれて、CTスキャンを撮って、すべてが良好であること、それが瞬間的なアドレナリンの影響ではないこと、痛みがないことなどを確認した」 また、これほどのクラッシュにもかかわらず大きな怪我を負うことはなかったロブだが、ドライバーのコックピットを守るウインドスクリーン(ヘイロー)に触れた際に火傷を負ったという。 「クルマから出るときにヘイローに触ってしまったんだ」 「チタンを何百フィートも地面にこすりつけると、熱くなるんだ。お勧めしないね。熱くなったチタンを触ると水ぶくれができるという教訓ができた」 神に命を守られたと感じているロブは、トロントのレースウィークを前に次のように語った。 「このような出来事の際、何がうまくいったかは見落とされがちだけど、感謝の気持ちを持つことは重要だと思う」 「僕は神に守られたと感じている。次の週末に再びマシンに戻る力を持っていることに感謝と喜びを感じている。恐怖心ではなく、感謝と喜びの気持ちを持って走ることになる」 「あの出来事は恐ろしいものだった。未来には何が起こるかわからない。でも、僕の未来を誰かに委ねる時、そこで信仰心の出番がやってくるわけだけど、おかげで普通よりもずっと早く前に進むことができる」
Joey Barnes