「腸内環境を悪化」させる原因「第1位」が判明!「治療薬のリスク」と「あまりにも簡単」な改善方法を公開!
どのようにして腸を整えればよいのか
薬剤摂取や生活習慣(食事内容や睡眠)の乱れ、ストレスなどによって腸内マイクロバイオータのバランスが崩れ、ディスバイオシスに陥ることで、さまざまな疾患を引き起こす原因となりうることをこれまで見てきました。 腸内マイクロバイオータには、いわゆる私たちの体にとってよい作用をもたらす「善玉菌」、悪い作用をする「悪玉菌」、そして健康なときは、私たちの体に何の影響も与えない「日和見菌」が存在しています。健康なときには善玉菌が活発に活動し、悪玉菌の増殖を防いでいます。しかし、体調が悪くなり、悪玉菌の割合が増えると、日和見菌も悪玉菌と同様に悪い作用をするようになり、腸内環境がますます悪くなり、便秘になります。 とはいえ、私たちヒトの顔が十人十色のように、腸内マイクロバイオータの組成やバランスにも個人差があります。そのため、ある人にとっては腸内マイクロバイオータのバランス維持によい生活習慣や運動が、別の人にとってはよくない影響を与えるという可能性もあります。それでは、どうすれば腸を整えることができるのでしょうか? 健康的な生活を送るためには、快眠と快食に並び、快便も重要です。なぜなら、腸内マイクロバイオータが胆汁酸から産生する二次胆汁酸のような発がん物質を消化管から排出するためにも快便は必要なことだからです。 日本では、男性の27・5%、女性の43・7%が便秘を感じていると報告されています。また、加齢とともに便秘は増加し、70歳以上で急激に増加します。一方、若い女性にも多く見られます(厚生労働省:令和4年国民生活基礎調査)。広島市で6917人の小学生に対して行われた調査ですが、驚くことに、小学生の18・5%が便秘に悩んでいるという報告もあります(※参考文献10-4)。
便秘の原因
便秘を引き起こす原因には、さまざまなものがあります。これまで見てきたようにパーキンソン病や糖尿病など病気に伴って起こるもの、薬剤の摂取によって起こるもの、そして、そもそも食事量や食物繊維の摂取が少なかったり、水分不足や運動不足だったり、無理なダイエットやストレスなどによって起こるものがあります。これらの便秘を放置することで、さらに悪化させたり、隠れている他の病気の発見を遅らせてしまったり、体内のさまざまな臓器に負担をかけてしまいます。たかが便秘ではなく、便秘も一つの病気として、専門の医師に相談することで、お腹も心も体もすっきりと軽くなるかもしれません。 では、便秘にならないためには、どうすればよいのでしょうか。厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、食物繊維の摂取目標量は、男性の18~64歳で1日あたり21g以上(65歳以上は20g以上)、女性の18~64歳で1日あたり18g以上(65歳以上は17g)とされています。つまり1食あたり男性は7g、女性は6gの食物繊維を摂るのが目標となります。しかし、実際の日本人平均の摂取量は、1日あたり14・2gと、残念ながら摂取目標量に達していません(※参考文献10-5)。 食物繊維摂取の内訳を見ると、とくに穀類からの割合が減っています。その大きな理由は、食の欧米化により、肉や乳製品が増え、玄米や大麦などの雑穀を食べなくなったためです。 食物繊維は腸の中を掃除するので便秘に有効、というのはよくいわれますが、それだけではありません。じつは、この食物繊維こそが、腸内マイクロバイオータ、とくに善玉菌の餌となる物質で、腸内環境を整えてくれるのです。こうした物質は、プレバイオティクスと呼ばれます。