韓国大統領の職務停止必要と与党代表-弾劾案可決の可能性高める動き
(ブルームバーグ): 韓国与党「国民の力」の韓東勲代表は6日、尹錫悦大統領の早急な職務執行停止が必要だとの認識を示した。大統領の弾劾訴追案が可決される可能性を高めるスタンスの急転換となる。
韓氏は国会内で開いた党の会議で、尹大統領が「非常戒厳」を宣布した当日夜に主要政治家の逮捕を指示したことを信頼できる証拠を通じて確認したと発言。尹氏が大統領職を継続した場合、国民を危険に陥れる恐れがあると述べた。
韓代表は自身の態度を変えた理由について、「新たに明らかになった事実を勘案すると、韓国国民を守るには、尹氏の職務を速やかに停止することが必要だと判断した」と説明。こうした見解が党内でどの程度共有されているかは不明だ。
さらに、韓代表は「尹氏が大統領職を継続するなら、今回の非常戒厳のような極端な行動が繰り返される恐れが大きく、それによって韓国と国民を多大な危険に陥れる恐れも大きいと考える」と述べた。
聯合ニュースによると、最大野党「共に民主党」は6日、尹大統領が再び非常戒厳の宣布を試みる可能性があるとの複数の情報を受け、全ての党所属議員に待機を命じたことを明らかにした。
2度目となる非常戒厳の可能性を巡る報道を受け、6日の韓国総合株価指数は一時1.8%安となった。その後は下げ幅を縮小して取引を終了。通貨ウォンは対ドルで下落した。
KBSによれば、韓国軍合同参謀本部は2度目の戒厳宣布が試みられる可能性を心配する必要はないと指摘した。
弾劾案採決へ
韓代表による突然の態度変更で、尹大統領の弾劾案が可決される可能性は従来より高くなりつつある。近く実施される採決で野党勢力に加え、108人の議員を有する国民の力から8人が造反すれば可決することになる。
国民の力には韓代表に近い議員が約20人おり、4日未明に行われた尹大統領の非常戒厳解除を求める決議案の採決では、こうした議員が賛成票を投じた。
共に民主党の李在明代表は韓氏の発言を歓迎したが、今回の発言が与党議員のコンセンサスを表しているかどうかは分からないと指摘。「弾劾に賛成しているように聞こえるが、どこかの時点でそういう意味ではなかったと言い出すかも分からない」と国会内で話した。