アメリカは46年間、こうやって「尖閣問題に弱腰」を続けてきた!いまこそ射爆演習場「使用再開」で明確なメッセージを出せ!
アメリカは間違った印象を発信している
1972年5月15日の沖縄返還に伴い、日本政府は日米地位協定(SOFA:正式名称で日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定)によって久場島と大正島を提供した。なお、政府は、国民税金で久場島の所有者に賃貸を支払い、現在は億単位でリースをしている。 日米地位協定では、久場島は「黄尾礁」、そして大正島は、「赤尾嶼」と呼んでいる。黄尾礁はW-175(施設番号6084)、赤尾嶼はW-182(施設番号6085)と指定されている。しかし、実際に使用されたのは1977年12月中旬が最後であり、その後もアメリカ海軍は何度も使用許可を求めているが、全ての要請が却下されてきた。 アメリカ民主党のジミー・カーター政権によるこの運命的な決定から45年以上が経過しているが、その間、日本政府を悩ませたのは当然である。特に、その数十年間、中国が尖閣諸島に対する日本の主権を、その施政権を弱体化させることによって、ほとんど毎日のように削り取ろうとしてきたのだから。アメリカ政府が同盟国から提供された独自の範囲を使用することを恐れているという事実は、その一例である。 悪影響には、尖閣諸島に対する日本の施政権は不完全であり(1972年に米国政府が尖閣諸島の施政権を日本に返還したにもかかわらず)、紛争が発生した場合、米国は日本を支援しないかもしれないという誤ったメッセージを、日本政府や日本国民、そして地域の他の国々に送っていることも含まれる(尖閣諸島には日米安保条約第5条が適用されるとアメリカが繰り返し表明しているにもかかわらず)。 また、日米地位協定によって保証されているアメリカの日本国内での施設使用能力に、中国が理論的にも実際的にも影響を及ぼすことができるという危険な前例を作ってしまった。さらに、同協定で義務付けられている、使わなくなった施設を日本に返還していないため、アメリカは日米地位協定に違反しているとの批判を受ける可能性がある。 最後に、使用停止の決定は、米軍と、もし日米地位協定第XXV条に基づき設置された合同委員会を通じて共同使用になった場合、自衛隊から、それぞれの防衛能力を維持または向上させるために必要な日本国内の訓練の機会を奪っている。 ドナルド・J・トランプ次期政権がこの状況を理解し、二国間同盟と東シナ海の平和と安全の維持のために、早急に対処することを強く望む。
ロバート・D・エルドリッヂ(政治学者・台湾外交部フェロー・淡江大学客員研究員・元米海兵隊太平洋基地政務外交部次長)