解剖研修問題で「献体しない」宣言続出...通常は「献体」どう扱われる? 黙禱や献花、実習室はスマホ厳禁も
「解剖実習は技術の向上だけではなく、学生や医師の倫理観の教育の場でもある」
献体の扱いについては、「死体解剖保存法」第20条にも定められている。 「死体の解剖を行い、又はその全部若しくは一部を保存する者は、死体の取扱に当つては、特に礼意を失わないように注意しなければならない」 死体解剖保存法には、解剖には遺族への承諾が必要であることのほか、「公衆衛生の向上又は医学の教育若しくは研究のため」という解剖の目的、実行できる人の資格、特別な解剖室で行うことなどが定められているが、坂井氏はこの第20条が最も大切だと話す。資格や場所、目的が法律で限定されているのは、遺族の気持ちを大切にし「礼意を失わない」ことを実現するためでもあると述べる。 19年に順天堂大学の教授を定年退職するまで、医学生の解剖実習に立ち会っていた経験を持つ坂井氏は、解剖実習の前には全員で黙禱を捧げ、献花をたむけていたと説明する。ほかの大学でも通常行っていることだという。また現在は、外科修練の場として献体を用いた実習も行われており、人体の構造を理解することで、精度の高い治療につながっている。この実習に際しても、同様にご遺体に敬意を表して黙禱を捧げ、献花をたむけている。 坂井氏は、解剖実習は技術の向上だけではなく、学生や医師の倫理観の教育の場でもあると説明する。解剖実習室にはスマートフォンの持ち込み禁止を厳命していたとし、「ご遺体を写真に撮って勝手にアップしてはいけない、そういうことをするとどれだけ悩む人がいるか」ということも教えていたと話した。 今回のようにSNSに献体の写真を公開する医師がいたことについて坂井氏は、「非常に残念」と話した。