ロシアは「容認できない」と猛抗議…スペイン航空宇宙軍も初参加!自衛隊&独仏西「共同訓練」密着撮
’24年7月19日、航空自衛隊千歳基地にドイツ空軍とスペイン航空宇宙軍2ヵ国の戦闘機などが飛来した。また、同日にはフランス航空宇宙軍の戦闘機などが茨城県の航空自衛隊百里基地に飛来した。 さながら”NATO軍千歳基地”…集結した各国の戦闘機&輸送機【写真】 この3ヵ国の来日目的はインド太平洋地域で訪問国と共同演習を行う「パシフィック・スカイズ24」の一環であり、日本訪問前はアラスカで米空軍と共同訓練を行った。 航空自衛隊はドイツと’22年より、フランスとは’23年より共同で訓練を開始しているが、スペイン航空宇宙軍が参加しての訓練は今回が初となる。 訓練に先立ち、18日よりドイツ空軍とスペイン航空宇宙軍の輸送機などが続々と千歳基地へ飛来した。独仏西各国の戦闘機は「ユーロファイター」と呼ばれる日本ではあまり馴染みのない機体だ。 ユーロファイターはイギリス・ドイツ・イタリア・スペインの4ヵ国で共同開発された。’70年代後半より開発構想が始まったが、当初は計画に参加していたフランスの脱退や、ベルリンの壁崩壊など紆余曲折を経て1994年に試作機の試験飛行が行われ、’03年より各国へ導入・量産が開始されたヨーロッパオリジナルの機体である。日本やアメリカなどの戦闘機と違い、機首にカナード(前翼)を備えた珍しい形状をしている。 18日、19日に飛来が確認できた機体は、ドイツ軍がユーロファイター8機、A400M輸送機1機、C-130輸送機1機、A321輸送機1機、そしてNATOで共同運用している空中給油機のA330MRTT4機の計15機、スペイン軍はユーロファイター4機、A400M輸送機が2機の計6機、独西合計で21機が千歳基地に飛来した。 これだけの外来機の集結具合に、さながらNATO軍千歳基地といった様相を呈していた。 19日に開催された出迎え行事で、空自第2航空団司令の田中信隆空将補は「自由で開かれたインド太平洋の維持・強化の観点から共同訓練は意義深いものであると考えている。戦術理論の向上・相互理解の推進、防衛協力の深化など、部隊レベルの交流は将来にわたる連携強化の礎となる」とコメントした。 また、駐日ドイツ大使代理国防武官ラルフ・ペルジケ空軍大佐は「’24年1月に日独物品役務相互提供協定、『日独ACSA』に署名し、先日発効したことにより給油及び装備品の補修など自衛隊とドイツ連邦軍における物品の提供や将来の共同訓練など円滑かつ迅速に行うことが可能となった。今回の訓練でロジ面の恩恵を受けることができた。毎年段階を踏んで訓練を行ってきたものをさらに深化・発展させたい」と話した。 駐日スペイン大使のフィデル・センダゴルタ・ゴメス・デル・カンピージョ大使は「スペインの戦闘機が日本へ飛来し共同訓練するのは今回が初めて。両国の防衛協力の一環でインド太平洋と大西洋の平和は不可分であり、今回の訓練にあたり両方の海を渡ってきたのはまさに防衛協力の原則に基づいたものである」とコメントした。 一方、今回の訓練でロシアや北朝鮮は不快感を露わにした。 ロシア外務省は駐ロシア日本大使館へ抗議文を送り、「ロシア極東地域の沿岸でNATOと共同で軍事演習を実施する日本政府の決断は容認できない」とコメント。 また北朝鮮の朝鮮中央通信は長文で抗議の論評を掲載、「何の資格もない岸田総理がNATO首脳会議に出席しただけではなく、今度は日本でNATO加盟国との共同訓練を7月8月に行うことは軍事侵略の何物でもなく、アジア太平洋地域はNATOの十字軍遠征の舞台ではない」と発表した。中国は特にコメントを出していない。 各国の軍隊との訓練が盛んに行われるようになった今、自衛隊は歴史の転換点に差し掛かっている。
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