日本とフランスで違う「テーブルマナー」の変化。星つきレストランで感じた知識より大事なこと
ボトルワインのテースティングは女性がしてもいい
「レストランでボトルでワインを頼んだときは男性がテースティングしましょう」という文章を日本のワインやマナーに関するサイトで見たことがあります。理由は、テースティングはかつて毒味の意味があって、ご婦人をリスクから守るためだそう。 でも、現代ではワインに毒が入っていることはまずないし(そもそも男性は毒にあたってもよいのかという疑問もあります)、フランスではテースティングは必ず男性がするべきとは考えられていないと感じます。 フランスのホテル、レストラン業界のサイトに「基本的にはワインのメニューは招待側に渡し、ワインを選んだ人がテースティングする」と書かれていて、「招待側がだれかわからなかったときは『どなたがワインを選ばれますか』と質問する」とつけ加えられています。男女のカップルでも男性が必ず招待する側とは限らず、女性の方がワインに詳しいこともあります。 以前、レストランでワインのチョイスで迷い、夫とじっくり話し合っていました。その様子を見ていたと思われるフランス人のソムリエが「マダムにテースティングをお願いします」とグラスを差し出してくれて、とてもうれしかったのを覚えています。そのおかげで、食事の時間をとても楽しく過ごせました。
美食マナーは細かい技術よりも「心」が大切
以前のように、知識のある人だけが恥をかかずに食べられるのがフランス料理という概念はなくなってきているようです。それよりも周りの人に嫌な思いをさせず、気分よく場を楽しむ姿勢の方が大切になってきたと感じます。 テーブルマナーも、時代に合わせてアップデートしていきましょう。
ペレ信子