年金支給額「2.7%」UPも──“実質目減り”のワケ 6月から森林環境税…都市部でも?配分と使い道は【#みんなのギモン】
■年金の支給額が決まる仕組みは?
近野解説委員 「額面では増えていますが、もろ手を挙げて喜んでいいかというと、少し微妙なところです。年金の額は、前の年の物価や賃金に連動して決められています。そのため物価が上がれば年金も前年度より増えるという仕組みになっています」 「ただし、その伸び率は物価や賃金の伸び率よりも多少低く設定されます。これは現役世代の保険料の負担がどんどん増えるのを抑制するための措置です」 「つまり、年金の額としては増えてはいるものの、物価の上昇よりは低い。昨今の物価上昇と照らし合わせて考えると、実質的には目減りしている状況と言えます」 森圭介アナウンサー 「賃金についても、賃上げに成功している企業もありますけど、物価高のペースの方が速いので実質賃金が下がっている。それにも近いようなケースですね」 近野解説委員 「同じような構図です。制度上そうなっているので、仕方がないと言えば仕方がないんですが…」
■住民税と合わせ年間1000円徴収
近野解説委員 「新たに税の負担も増えます。6月から1人あたり年間1000円、住民税と合わせて徴収されるのが『森林環境税』です。使い道は、その名の通り国内にある森林の整備です」 「日本は国土の約7割を森林が占める森林大国ですが、それゆえにさまざまな問題があります。所有者や境界が分からない森林が増えていること、林業の担い手が不足して森林が荒れてしまっていることなどです」 「こういうことを背景に、きちんと森林を整備できない課題を抱える自治体は非常に多いです。それを、国民から徴収した税金も使ってなんとかしようというわけです」
■国が集め、各自治体に見合った額を分配
刈川くるみキャスター 「森林を守るのは大事だなと思います。これは住んでいる場所などは関係なしに、みんな徴収されるものなんですか?」 近野解説委員 「みんな住民税を納める人は徴収されます。対象は約6200万人で、×1000円で約620億円の税収が見込まれます。昨年度まで1000円徴収されていた復興特別税がちょうど終わる時期だったので、継ぎ目なくぬるっと森林環境税に変わったのではと指摘する声もあります」 森アナウンサー 「手取りが変わっていないから気付かれづらいけれども、名目は全く違うものになっていたということなんですね?」 近野解説委員 「住民税と合わせて徴収されますが、集めたその自治体で直接使うわけではなく、いったん国が全部集約して各自治体に見合った金額を分配していく形になります」