量産モードで「必然」の本塁打競争参戦はどうなる? 大谷翔平の出場に考えられる“弊害”「疲労の溜まり方は尋常じゃない」
大谷翔平(ドジャース)がどうにも止まらない量産態勢に入った。 現地時間6月26日に敵地で行なわれたホワイトソックス戦で、大谷は初回の第1打席に2試合連続の先頭打者弾となる25号ソロアーチを記録。これで球団新記録となる10試合連続打点もマークした。 【動画】まさに異次元の打撃!圧巻の2試合連続先頭打者弾、25号を放ったシーン これで大谷は直近10試合8発目。リーグの本塁打王争いも独走状態となり、キャリアハイの年間50号超えも「現実的」と言える驚異的なペースで打ち続けている。 まさしく絶好調な大谷だけに期待が集まるのは、オールスターの前日に行われる本塁打競争への出場だ。MVPを受賞した21年に出場した際には、フアン・ソト(現ヤンキース)と“延長戦”にまでもつれ込む熾烈な争いを披露。1回戦で惜しくも敗れたものの、小さくない話題を呼んだ。 日本的に言えば、本塁打王を争うスラッガーの出場は「必然」と言えるかもしれない。さらにファンはもちろん、興行を開催するMLBとしてもリーグ屈指の強打者に出場してほしいところだろうが、事はそう単純ではない。 なにせ1ラウンド4分間という制限時間内に本塁打を量産しなければならない同競争は選手への負担が大きい。「一度出たら十分」という声も少なくない。また、参加選手がフォームのバランスを崩し、後半戦に失速するという傾向もある。過去の出場者の中には、「ダービーでスイングが崩れた」「疲労の溜まり方は尋常じゃなく、また出たいと思わない」と弊害を指摘する者もいたほどだ。 実際、今季はすでに“大物”の辞退が決まっている。現在両リーグトップの30本塁打を放っているヤンキースの主砲アーロン・ジャッジは、「もう出ないというわけではない」としつつも不参加を表明。「ニューヨークで開かれるなら出るけど、今年は必要ない」とあくまでレギュラーシーズンを重視する考えを示している。 もっとも、ドジャース側も出場には慎重な姿勢を貫いている。26日の試合前の会見でデーブ・ロバーツ監督は、「彼(大谷)の出場は球界のことを考えれば、素晴らしいことだけど、監督として、そして球団としての立場で考えると、右肘のリハビリの過程段階でもあるから、スイング数が増えて、高い強度になるのは避けたい」と本音を漏らしている。 出場について「もちろんやりたい気持ちは、どの選手もあると思う」と語る本人も「僕もリハビリをしているので、ドクターの許可だったり、トレーナーの許可、チームの許可だったりとか。そういう他の部分との兼ね合い次第」と冷静に話している。 かく言う大谷も21年は、参戦後の後半戦で13本塁打(71試合)と失速した過去がある。野球人気の復活を幾度となく口にしていた偉才だけに、ファンを中心とする周囲の期待は承知の上。だが、主力の怪我人が相次いでいるチーム状況を考えても、今夏に無理をする必要があるかは熟考の余地があると言えよう。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]