ジェフユナイテッド千葉、16年ぶりのJ1復帰の可能性は? キーマンは大卒2年目の点取り屋
「数少ないチャンスを決めきってくれるエースストライカーがいるのは大きい」 小林監督もそう言って信頼を寄せる点取り屋こそ、大卒2年目の24歳、小森飛絢(ひいろ)である。 今季から背番号10を託された新鋭FWは現在、22ゴールでJ2得点ランキングの首位を独走(第34節終了時点)。ルーキーシーズンだった昨季、すでに13ゴールを記録し、注目を集める存在となっていたが、今季は2年目のジンクスに悩まされるどころか、得点数を倍増させようかという勢いを見せている。 特に第28節ベガルタ仙台戦からの7試合では、計12ゴールを量産。第32節レノファ山口FC戦でのハットトリックをはじめ、うち5試合が複数得点という無双状態にある。 その12ゴールの内訳を見ても、右足6、左足4、ヘディング2と、得点感覚に優れたストライカーらしく、ひとたびゴールのにおいを嗅ぎつけてしまえば、形は問わない。 裏を返せば、絶対的な武器を持っているわけではないとも言えるが、高さ、スピード、技術とどれをとっても欠点は見当たらない、オールラウンドなFWである。 「前節(第33節)の愛媛FC戦も自分たちのミスが多くて、嫌な流れになったし、今日(群馬戦)も本当にミスが多くて、そういうことが2試合続いたので、しっかり改善していかないといけないし、その嫌な流れのなかで自分がしっかり前で起点を作って、チームを助けられるポストプレーがもっともっとできればいい」 自ら決勝点を決めた群馬戦後も、そんな言葉で反省を口にしていた小森だが、悪い流れのなかでも決して攻め急いだり、苛立ったりすることなく、落ちついてボールを収め、時間を作る様子を見ていると、好調ゆえの余裕はもちろんこと、風格すら感じさせる。
自身へのマークが特段厳しくなったとは感じていないという小森は、「自分の調子のよさもあって、しっかり味方も見えているし、落ちついて焦らずプレーできている」。 これだけ点を取っていれば日々の練習から気分よく過ごせるのではないかと尋ねると、「(気持ちは)全然違う」と言って笑顔を見せた。 すでにJ1自動昇格の可能性がなくなった現在、「自分たちは優勝を目標にやっていた」という小森に、まったくショックがないわけではないだろう。 しかし、小森は「その次のJ1昇格という目標はまだ途絶えていない」とキッパリ。「そこをしっかり達成できるように、残りの試合を全力でJ1昇格に向けてやっていければいいなと思う」と、力強く語る。 長いシーズンを戦うなかでたくましさを増したチームと、覚醒の時を迎えたストライカー。2009年以来となるJ1復帰を目指す千葉は、プレーオフを勝ち上がる準備を整えつつある。
浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki