ノートルダム大聖堂がついに再開、何がどう変わったのか、見どころを超詳しく解説
大規模な修復プロジェクトの成果は、周囲はこれから生まれ変わる
フランス、パリのノートルダム大聖堂が倒壊の危機に陥った2019年4月の大規模火災は、世界中の人々にさまざまな感情を呼び起こした。あれから5年。歴史家のジャック・イレレが「人々の家」と呼んだこの大聖堂は、2000人もの職人たちが結集した修復プロジェクトを経て、12月8日に一般に再オープンする。 ギャラリー:修復されるノートルダム大聖堂ほか 写真4点 消火活動に従事した消防士と修復に取り組んだ作業員にささげるものを含む一連のミサが、6カ月にわたって開催される予定だ。 「これは全世界が待ち望んでいた非常に大きな瞬間です」とノートルダム大聖堂の事務局長オリビエ・ジョス氏は言う。「再オープンの大きな喜びは、ノートルダム大聖堂を再発見したいという強い期待の表れです。キーワードを挙げるなら、忍耐です。皆が忍耐を示す必要があります」 予想される来場者数は驚異的だ。火災が起きる前、この中世の建造物には年間約1200万人が訪れていた。再開後の来場者数は1500万人に達すると予想されている。 「私たちが行ったすべての調査から、ノートルダム大聖堂を訪れたい人は毎日約4万人に上ることが示されています」とジョス氏は説明する。「(同じフランスの)ベルサイユ宮殿やルーブル美術館の1日の来場者数の約2倍に相当します」 しかし、ノートルダム大聖堂はこれらの名所ほど大きくない。「私たちの責任は、来場者や礼拝者にスムーズで快適な体験を提供することです。そのための対策を実施する予定です」
新しいオンライン予約システムと順路
これまで通り、ノートルダム大聖堂への入場は無料だ。それに加えて、12月初旬に公式ウェブサイトの予約システムが公開され、訪問の数日前から、オンラインで時間枠を予約できるようになる。もちろん、予約なしでも入場できるが、その場合、2~3時間待ちの列に並ぶことになる。 最初の6カ月間、入場は個人に限定され、団体では入場できない。さらに、3言語(将来的には6言語に拡大)で教育情報を提供するモバイルアプリも公開される予定だ。 入場すると、すぐに感嘆の声を上げることになるだろう。「これまで見たことがないノートルダム大聖堂を目にするでしょう」とジョス氏は予告する。 「860年の歴史のなかで、完全に修復されたことは一度もありません。最初の建設工事では、最初の石が置かれてから完成するまでに170年かかったため、建物はすでに改変され、あちこちが黒ずんでいました……修復された建物に入ると、まず明るさに驚くことになるでしょう」 高いボールト(アーチ形の天井)やステンドグラスの窓によって増した美しい光は、12世紀に生み出され、ヨーロッパで広く模倣されたゴシック建築の根幹を成すものだ。何世紀にもわたって蓄積されたほこりやすすを落とされたルテシアン石灰岩は輝きを取り戻し、リブ・ボールト(肋材が入ったボールト)に塗り直された黄土色がアクセントになるだろう。 フレスコ画や市松模様の床のほか、塔から取り外され、鉛の粉を落とし、元々の生産地であるノルマンディー地方の鋳造所で修復された鐘など、何もかもがきれいになった。ハイテクを駆使した新しい照明システムも美しさを際立たせるだろう。 新しい順路は、オリビエ・リバドー・デュマ主任司祭が「一貫性」と呼ぶものを生み出し、教育的側面も備える。中央にある「最後の審判」の門をくぐると、来場者は時計回りに進む。まず、旧約聖書とキリストの生涯を描いた絵画や彫刻があり、次に、キリストの復活が続く。 つまり、この順路は象徴的な意味合いも持ち、「北の闇から南の光へ」と来場者を導くことになるとジョス氏は説明する。ハイライトは聖遺物「いばらの冠」だ。これまで宝物庫に収められていたが、建築家のシルバン・デュビュイソン氏が設計した展示ケースに入れて公開されることになった。 「最終的に、(この順路は)素晴らしい再発見の旅となり、人々はこの大聖堂の意味を理解するでしょう」とジョス氏は語る。「なぜなら、大聖堂は神の栄光のためにある建物だからです」