異例の“争わない”裁判で認められた「性別変更後」に生まれた子どもとの父子関係 担当弁護士が語る性別変更制度の課題
政界の力学で議論進行「現場の声に耳を傾けるべきでは」
自民公明を含む各党で、現在、性同一性障害特例法の改正に向けた議論が行われているが、こうした政界での動きについて、仲岡弁護士は「『政治の世界の力学で動いているんだな』という印象を受けている」という。 「議論の前提として、当事者の声を、ちゃんと聞く必要があると思います。しかし、実務法曹やトランスジェンダー当事者に対するヒアリングが十分に行われているかというと、そうではないように感じます。 今年3月のGID(性同一性障害)学会に出席した際に、当事者団体の方や、弁護士の方々と意見交換を行いましたが、政治家からヒアリングを受けた、議論をしたといった声はほとんど聞かれませんでした。 政治家の方からも、LGBT理解増進法と性同一性障害特例法の今後について報告を受けましたが、これまでの議論に医者や弁護士、当事者らがどれだけ関与したのかは不明でした。少なくとも私の耳にはそうした情報は入っていません」(仲岡弁護士) 立憲民主党の代表戦、自民党の総裁選を経て、今秋には衆院選が行われる見通しだ。 仲岡弁護士は、特例法改正の議論が「総裁選や衆院選のゴタゴタで、来年に持ち越されるのではないか」と話す。 「先延ばしになるのであれば、その間にぜひ、立法府の皆さんが当事者の方や関係者など“現場の声”に耳を傾けるべきではないでしょうか」(仲岡弁護士)
弁護士JP編集部