三人称・鉄塔イチオシ!「記憶をなくしてもう一度やりたい」一筋縄ではいかない推理ゲームの面白さ
「あっ! あそこになんか髪の薄い男がいる!」 もうひとり、船長室の外で階段をかけ上げっていく男がいることが分かります。 凶事を目撃して逃げ出そうとしていたのか……とその男の正面に回ってみると、男の口にはナイフが咥えられていました。 「なんでナイフを……逃げてるわけじゃないのか?」
しかし、この男の回想シーンが進むことはないので、これ以上の情報は分かりません。 別のシーンで、この行動の先が判明することになるでしょう。こうして少しの情報も見落とさないようにしながら物語を完成させる――これがまあ、たまらなく面白いのです。 空白を予測して埋めていく作業が楽しいというのもありますが、何より彼らの身に降りかかることになった運命を見るのがとにかく面白い。
始めの回想シーンだけなら、船員同士の行き過ぎた喧嘩の果ての行動なのかと思ってしまいますが、そこにいたるまでの経緯が明らかになってくると、それぞれの思惑にもある種の納得がいくようになります。 そして、船員が話していた「貝殻」とは何なのか? この貝殻の謎にたどり着く過程で、おそらくプレイヤーの誰もが驚愕しただろうと思います。 僕には「記憶をなくしてもう一度遊びたいゲーム」という物がいくつかありますが、この『リターン オブ ジ オブラ・ディン』はその最たるものです。 ぜひ、彼らがたどることになった数奇な物語を探ってみてください。オススメです。 鉄塔=文 池田裕美=編集
OCEANS編集部