三人称・鉄塔イチオシ!「記憶をなくしてもう一度やりたい」一筋縄ではいかない推理ゲームの面白さ
「船長! 開けてください!」 「蹴破れ」 「力づくで貝殻をいただきますよ!」 「船長の私に逆らうものは罰をくれてやる!」
これらの文字が消えるや否や、一発の銃声。そして、男が発砲した光景が目の前に広がります。 紙芝居の中に入り込んだかのように時空間は静止していて、プレイヤーの自分だけがその空間を自由に動けるようです。
その静止した空間では銃を発射した男、銃弾を受けた男、それを目撃した男と、さまざまな人物がそこにおり、しばらくそれらを眺めていると、やがて先ほどの時間軸へと戻されるのでした。
再び先ほどの手記がパラパラと開かれ、このシーンが「終幕」という章の「その1」であったことが分かります。やや不鮮明に描かれた人物のスケッチには付箋が張られていて、「この人物は誰?」と「死因は?」の文字。
すべての人物を特定し手記を完成させていく醍醐味
ここで、この『リターン オブ ジ オブラ・ディン』というゲームは、オブラ・ディン号に乗っていたすべての人物の名前とスケッチを一致させ、かつ死亡しているならば明確な死因を特定することが目的であることがわかりました。 例えば先ほどの会話から、銃を撃ったのが船長であることはわかります。 しかし、撃たれた人物が誰なのかは先のワンシーンを見ただけでは見当もつきません。
撃たれた人物が登場するほかの回想シーンを見ることで、彼が何者なのかを推測していくのです。 船員は50名を超え、死因も「銃殺」や「殴殺」など多数の項目が存在します。ひょっとしたらどこかで生存している人もいるかもしれません。
いくつも登場することになる白骨死体から懐中時計で過去へと飛び、この船に何が起こったのか、彼らがたどった数奇な運命を垣間見ることで、託された手記の空白を埋めていくというのがこの主人公の目標になります。 それだけでも途方もない作業に思われますが、この物語は平面上の紙芝居ではなく、ちゃんと奥行きがあるのです。 先のシーンでいうのならば、船長と撃たれた男、それを横で見ている男がいます。 しかし、船長室から少し離れて別の方向を見てみると……?