【毎日書評】信頼される人は、質問力に長けている。そのヒントは「絵訳」にあり
「いつも信頼される人」になるのは難しいもの──。 豊富な知識や誠実な行動、頭のよさ、気配りなど、さまざまな能力を身につける必要がありそうだからこそ、そう感じてしまいたくなるのかもしれません。 しかし、『いつも信頼される人がやっている「たったひと言」の質問力』(坂本 聰 著、ソシム)の著者によれば、いまの自分のまま、信頼される人になる方法があるようです。重要なポイントは、「質問力」を磨くことだそう。 知識や語彙力がなかったとしても問題はなく、むしろ変に知識がないほうが、発することばは“純粋な質問”になるため会話は発展しやすいというのです。 たとえば「私は犬より猫が好きです」と伝えたとしたら、多くの場合は2つの反応があるといいます。 A「『イヌ』よりも『ネコ』が好きなんだね?」 B「猫といってもいろんな種類がいるけど、どんな猫が好きなの?」 (41ページより) 前者は、たいした興味もないという人の返答。対する後者は、「どんな猫を想像しているのだろう?」と、情景を思い浮かべたからこそできた質問であるため、より信頼を得られる返答だということになります。 つまり、わからない部分をはっきりさせる質問ができれば、正しく理解でき、信頼されるようになるということ。 そして、その際の重要なポイントは「絵訳」をすることなのだそうです。この点についての基本的な考え方を確認するため、第1章「『信頼される質問』をつくる絵訳とは?」に焦点を当ててみましょう。
会話は「イメージ」するとうまくいく
「とりあえず手をつけてから考えよう」と中途半端な理解のままでスタートすれば、周囲の期待を裏切ることになってしまうかもしれません。しかし、「わからない部分を質問し、正しく理解しよう」というスタンスで臨めば、結果的には信頼されるようになるでしょう。 そして、「わからないこと」を発見して自覚するためには、「絵訳」が役立つのだといいます。 著者によれば絵訳とは、「頭のなかで、聞いている内容をイメージ化する技術」。もともとは、「見聞きすることをイメージ化しながら、足りない情報を発見・確認・質問することによって、自分自身の言葉で説明できるレベルにまで理解を深める技術」だったそうですが、そういった過程はコミュニケーションにも役立つというのです。 なお、絵訳の効果は次の3つ。 ① 聞いた事実を頭の中で絵としてイメージする(イメージ化) ② わからない部分を、きちんと質問できる(質問化) ③ 質問することで、理解が深まる(理解) (55ページより) たいしたことではないようにも思えますが、多くの「信頼されている人」は、物事を理解する過程で絵訳をし、質問を介しつつ相手からの信頼を得ているというのです。(52ページより)