【デーブ大久保コラム】メジャーの解説でドジャースのウィル・スミスが非常に気になりました
【デーブ大久保 さあ、話しましょう!】 先週はメジャー中継での解説の話をしましたが、今週もその続きをしたいと思います。じっくりメジャーの試合を見て大谷翔平のすごさを本当に感じた1試合でした。 イチローがマリナーズ時代にニューヨーク遠征で松井秀喜が在籍していたヤンキースと対戦した試合。松坂大輔がレッドソックスに移籍したときなど、解説者として渡米し、当時のメジャーを肌で感じた者として、現在のメジャーはやはり進化しているなと感じました。 ただひとつ、気になったのがピッチクロックです。昨年までプロ野球の現場にいたこともあって、日本のスピードに慣れているということもあります。その感覚で解説をしていくと、どんどん試合が進んでいくんです(笑)。はや~と思いながら話をしていました。 なんでも1試合平均2時間30分くらいでほとんどの試合が終わるとか。プロ野球は平均3時間くらいと聞いていますから20~30分も違います。このスピードが野球にとっていいことなのか、悪いことなのか……私には分かりません。見ているファンはテンポよく試合が進むので飽きることは少ないでしょう。 一方で、選手たちにとっては……。大リーグ評論家の福島良一さんにうかがいましたが、このピッチクロックの影響もあり、各チームのエース級の投手が次々にケガで離脱しているとか。プロ経験者からの考えを聞かれましたが、一概に関係ないとも言えませんよね。でも、大いに関係があるとも言えないんです。 元来考えながらじっくり投げる投手にとっては、自分のリズムで投げられないということで、ストレスを感じながら投げているはずです。そうなると体に何かしらの負担が掛かるだろうとも思います。しかし、投手の中にはテンポよく、早く投げたがる人もいるわけです。その投手にとっては何の違和感もないルールです。今後、この点に関してもっと議論されていくものだとも思います。 このピッチクロックをMLBが今後も続けるのであれば、日本のプロ野球も早期に導入するしかないかなと思っています。もしWBCで連覇を狙うのであれば余計に、選手たちがこのシステムに体が慣れる必要があるでしょう。 そんな今回の試合の中で気になった選手が一人いました。ドジャースの選手です。私が捕手出身なので、どうしても捕手に目が行ってしまいます。それがウィル・スミスでした。何がいいのかと言いますと、喜怒哀楽を見せないんです。淡々とプレーしていくのみ。 捕手なので打たれることもあり、ピンチで三振を取ることもある。にもかかわらず表情を変えずに守っています。打撃でも四番として、素晴らしい打撃をしながらも、ヒットを打ってもクール。本当に29歳なの? と思ってしまうほど。それくらい気になる存在になりました。これからも彼に注目していきます。
週刊ベースボール