え、ガラスとちゃうん!?「あまりに透明なゴム製グラス」開発裏話 大阪の老舗企業“見える”化の秘策
暮らしの身近な所で使われているパッキンなどのゴム製品。家電そのもののような主役ではありませんが、暮らしに欠かせない部品です。そんなゴム素材メーカーが大阪の八尾にあります。 【写真】激写! あまりに透明なゴム製グラスが「ガラスじゃない」と気付く瞬間 1936年に創業、今年で88周年を迎えている老舗ゴム素材メーカーの錦城護謨(きんじょうごむ)株式会社(大阪府八尾市)。工業用ゴムや医療機器などの樹脂製品、身近な所では炊飯器の内ぶたのパッキンなど、さまざまな製品を作っています。 「非常にいろんな形に変えられたり、安全性が担保されたり、さまざまな機能性が非常に高いのが、ゴムという素材。本当にあらゆる業界でお使いいただいている」と話すのは、2年前から同社で初の広報を担っている水田竜平さんです。 「ゴムというのは、主役じゃないが、非常に重要なもの」という、水田さん。「僕はもともと土木(の部署)にいたので、ゴム部門の人たちのその技術や、(制作に携わる)その人たちがすごいなと思っていた。そういったことを世の中にどんどん伝えていくということが大事なこと」と、自社の技術や製作するゴム部品のアピールに奔走しています。 ただし、作られているゴム部品のほとんどは、守秘義務により、具体的にどこのメーカーのこの製品に使われていると公開することはできません。 そこで同社は、オリジナル商品の製作に着手。2020年、自社初となるオリジナルブランド「KINJO JAPAN」を立ち上げます。 同ブランドの目玉は、シリコーンゴムでできた、まるでガラスのようなグラスです。SNSでも話題となり海外でも注目されている『ゴム製とは思えない透明性』が大きな特長ですが、魅力はそれだけにとどまらず。ゴムの熱が伝わりにくい特性により結露しにくく、使用可能温度帯はマイナス30~200度までと耐冷・耐熱に優れ、レンジの使用も可能という実用性も兼ね備えています。 メーカーの持つ技術を“見える化”する商品として開発された、このグラス。 「もともとの原材料自体が透明な材料を使ってはいるが、私たちは加工屋、ゴムの加工屋なので、この透明度をもともと材料が持っているポテンシャルを損なわずに、いかに形にしていくか、そこが非常に難しい」と、水田さん。 それでも、「ゴムでここまでのことができるんだっていうことを広く知っていただき、錦城護謨という社名も含めて、世の中に広く知ってほしい。なかで働いている社員の人たちは、本当に素晴らしい人たちなので」と、自社製品にかける思いを明かしていました。 なお、来年の大阪・関西万博では、大阪ヘルスケアパビリオンに自治体としては唯一出展する八尾市のブースで、市内13社のうちの1社として参加する予定です。 「我々いわゆる中小企業、ものづくり企業ということは、僕たちと同じような悩みを抱えている企業がたくさんいる。僕たちを含めてリアルに人がものづくりをしているなか、その人たち(や製品)に触れていただくことで、その企業の素晴らしさや『どういうことをしてるんだ』ということを分かってもらいたい」と、水田さんは万博という大舞台に期待を寄せていました。 ※ラジオ関西『Clip木曜日』より
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