日鉄めっき鋼管、「ZAM鋼管」の改良品発売。耐食性向上・競合品と差別化
日鉄建材(社長・美濃部慎次氏)子会社の日鉄めっき鋼管(社長・下元光氏)は、さびに強い主力の電縫鋼管製品「ZAM(ザム)鋼管」の耐食性をさらに向上させた改良品を売り出した。溶接ビード(継ぎ目部)のさびを防ぐ溶射膜を厚手化できる新技術を開発し導入。今春から2工場で量産に入っており、既に太陽光発電設備の支柱に採用された。機能性を前面に掲げて他社との差別化を図り、これまで手薄だった電柱やガードレール向けなどにも適用拡大を目指す。 ZAM鋼管は、日本製鉄製の高耐食めっき鋼板「ZAM」を母材に活用した建材管だ。製造工程では、同鋼板を筒状に丸めて高温で溶接。その後、溶接時に蒸発・消失したビード部のめっきを補う「溶射補修」を経て仕上げる。 一連の工程のうち、溶射補修工程に新技術を採り入れることで改良品の市場投入を実現した。従来法では溶射膜の厚手化に限界があり、母材と比べ継ぎ目部の耐食性が低くなってしまう課題があった。 新技術は従来のガス溶射にアーク溶射を組み合わせたハイブリッド式。二重に溶射を施すことで、ビード部の溶射膜を従来比約3倍に厚手化でき、大幅な耐食性向上を実現した。生産性は従来と同等に維持できるという。新手法は日鉄めっき鋼管が日鉄本体と共に開発し、既に特許も共同取得済みだ。 日鉄めっき鋼管の下妻工場(茨城県下妻市)、蒲郡工場(愛知県蒲郡市)で2ラインずつに導入した。今後は需要に応じて適用ラインを増やすことも検討する。