「年収1000万円以上」は「高収入」「お金持ち」というイメージがありますが、実際に「お金持ち」なのですか?
数値から見ると、世帯年収1000万円以上の世帯の平均貯蓄額は2000万円を超えていますが、平均負債額は1000万円台となっており、住宅ローンや車のローンなど高額な負債を抱えている世帯が多いと考えられます。 なお、老後資金や教育費に充てられる「純貯蓄額(=貯蓄額-負債額)」は900~2000万円台となり、計画的な家計管理と貯蓄努力がなければ、十分な資産形成は難しいといえるでしょう。自身の家計状況に合わせ、貯蓄計画を立てていくことは不可欠です。
世帯年収1000万円以上でも、貯蓄ゼロの世帯もある
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査(令和5年)]」の調査によると次のとおり、世帯年収1000万円超の世帯のうち、約1割が「金融資産非保有(=貯蓄ゼロ世帯)」となっています。 ・1000~1200万円未満:11.5% ・1200万円以上:9.7%
「高所得貧乏」の理由
世帯年収が高いにもかかわらず貯蓄がゼロであるなど「高所得貧乏」になる理由としては、「高額な住宅ローン返済」や「浪費が多い」ため、貯蓄に回す資金の余裕がないことが挙げられるでしょう。特に都市部に住む子育て世帯の場合は、住宅ローンや家賃のほか教育費が高額になり、貯蓄が難しくなるケースも多いと考えられます。 また、高収入になればなるほど税金負担が大きくなり、所得制限により公的助成や給付金が受けられなくなります。ちなみに、課税所得が1000万円を超えると、所得税の税率が33~45%にもなってしまい、思うように手取りが増えません。 家計の見直しをするほか、iDeCoや生命保険料控除、住宅ローン控除など多くの税制優遇制度をフルに活用して、手元に残るお金を増やす工夫をしましょう。
まとめ
年収1000万円以上の世帯は、平均的な世帯よりも貯蓄額が多いですが、負債額も高額です。 中には高収入にもかかわらず「貯蓄ゼロ」の世帯も存在することから、「年収が高い=貯蓄も多い」とは一概にいえないと考えられます。まずは家計の見直しを行い、貯蓄は「毎月手取りの10%」など計画的に行うことをおすすめします。 出典 国税庁長官官房企画課 令和4年分民間給与実態統計調査 厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況 総務省統計局「家計調査/貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高 8-2年間収入階級別・二人以上の世帯 金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世論調査]令和5年調査結果 国税庁 No.2260 所得税の税率 執筆者:水上克朗 ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
ファイナンシャルフィールド編集部