高ボッチ草競馬が終幕 昭和27年開始 70年の歴史
長野県塩尻市郊外の高ボッチ高原で開かれてきた高ボッチ高原観光草競馬大会(実行委員会主催)が取りやめとなり、今後は開かれないことが30日、分かった。令和元年に66回大会が行われた後、新型コロナウイルス禍などの影響で4年連続中止となる中、餌代の高騰もあり馬を手放す人が増え、出走馬を確保できなくなった。 市内で開かれた市観光協会の社員総会で報告された。塩尻の夏を盛り上げる三大イベントの一つだったが約70年の歴史に幕を閉じた。協会事務局は「残念ながら競馬のイベントとしては終わりとさせていただく」とした。 標高1600メートルの高原で行われた大会は昭和27(1952)年に開始。1回目は農家で飼育していた農耕馬で行われた。自家用車が普及しておらず、出場する馬も観客も歩いて高原へ向かった。好評でその後は定着。出走馬は競走馬やポニーへと移った。近年も60~80頭が出走。来場者は土煙を上げて走る馬の迫力ある姿や息遣いを堪能した。県内外から4000人前後が訪れ、誘客面でも重要だった。爽やかな風が吹き抜ける競馬場周辺にはポニーの乗馬体験や動物と触れ合えるコーナーもあり、大人から子供まで楽しめる催しだった。 ただ、令和2年にコロナ禍で初めて中止に。3年以降は豪雨災害で市道高ボッチ線・東山ルートも閉鎖され、実施を妨げた。代替企画を行いつつ再開を模索したが取りやめが決まった。市観光協会で長く草競馬を担当してきた高木一男さん(64)は「馬が集まらなくなったのが理由だが寂しい。高ボッチでは市と連携し、9~10月に新たなイベントを計画している」と述べた。 草競馬は安曇野市でも行われていたが、平成29(2017)年の第49回大会で終了。高ボッチでの大会が終了となり、松本・木曽地方で定期開催する大規模な草競馬大会は姿を消した。
市民タイムス