モデルボクサー世界戦に不安、減量苦で禁断症状?
「ほとんど眠れていません。睡眠導入剤の力を借りて2時間寝たかなと思うとすぐに目が覚めます。試合への恐怖感ではないんです。顔は、殴られてもいいんです。顔からつっこんでいくつもりでいます。でも、多くの人が、応援してくれて、見にいくよと声をかけていただき、その頑張れよの気持ちにこたえなければならないとうプレッシャーがあります。また減量への不安があります。落とせるとは思いますが、果たして、こんな状況で試合当日にパフォーマンスを出せるのか。元々スタミナがなくて負けたというトラウマもありまから。悪夢も見ます」 高野は、総合スーパー、イトーヨーカドーの食品売り場に住んでいる夢や、ジョギングしている黒人アスリートの太腿が、ステーキに思えて、かぶりつく夢を見るという。「おそらくキュウリくらいしか食べれていないので、そんな夢を見たんでしょう。試合が終われば、イトーヨーカードに暮らして思う存分に好きなものを食べているんです」。ここまでくれば笑うに笑えない禁断症状だ。 すでに来日している王者のベルムデスは、17勝(5KO)3敗2分の戦績を持つ2階級王者。典型的なブルファイターで、高野は、突き放して距離を保ちながらペースをつかむことを想定して徹底してジャブを磨いてきた。この日の会見では、「3ラウンドでKOします」と金平会長に無理やりKO宣言をさせられたが、両者の経験から見ると、高野が万全でも苦戦必至のマッチメイクである。そこに加えて減量苦と、プレッシャーという目に見えないハンディを背負う。 「私は試合が終わって勝っているのは高野だという確信を持っています。体重調整もプロですから間違いなくやらせます」。金平会長は明るくふるまったが、突きつけられている現実は甘くない。 それでも高野は「時間は過ぎて必ずその時が来るんですから、後はやるだけ」と、自分に言い聞かせる。 高野が、その超弩級のポテンシャルを爆発させれば、女子ボクシング界の歴史に新たな1ページを刻むことは間違いないのだが……。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)