老後は医療費・介護費も増えて収入は限られるので不安しかありません。老後に「支出が減るもの・負担がなくなるもの」ってあるのでしょうか?
老後になったら生活費をまかなう自信がなく、将来の老後生活について不安を覚えている人も多いでしょう。しかし、現役時代と比べて老後は収入が大きく下がりますが、支出に関しても下がる傾向にあるのです。 本記事では、老後に支出が減るものや負担がなくなるものについて解説します。老後に不安を感じている人は参考にしてください。
現役時代と老後での支出の変化
老後を公的年金が受け取れる65歳以上と考えると、収入は公的年金がメインとなり、働き続けたとしても現役時代よりは収入が下がるのが一般的です。 しかし、老後の生活に不安を覚える人が多い一方で、支出に関しても下がったり負担がなくなったりするものが増えるので、極端に生活が厳しくなるということはありません。本項では、具体的に支出にどんな変化があるのか解説します。 ■老後に支出が減るもの 総務省統計局の「家計調査(家計収支編)2022年(令和4年)」から、現役時代の50~59歳と比較して、65歳以上の老後に支出が減るものは以下のとおりです。 <50~59歳(現役)と65歳以上(老後)の月間支出額平均> ◆衣服関連(被服および履物) ・現役:1万2207円 ・老後:5798円(差額-6409円) ◆交通費・通信費 ・現役:5万6663円 ・老後:3万31円(差額:-2万6632円) ◆住居費 ・現役:1万9481円 ・老後:1万6687円(差額-2794円) 住居費の差額はほかの2つに比べて大きくないものの、住宅ローン完済や夫婦2人に適した賃貸住宅へ引っ越しなど、状況によっては大きく変わる可能性があります。 なお、消費支出全体の平均でも、35万9963円(現役)と24万9501円(老後)で差額は-11万462円と大きく減額しています。 また、非消費支出も大きく変化します。現役世帯と老後世帯の非消費支出は、以下のとおりです。 ◆非消費支出(税金や社会保険料、借入金利息など) ・現役:11万6740円 ・老後:3万1812円(差額-8万4928円) 老後は収入が下がるため所得税や住民税も下がります。一方、社会保険料では年金保険料の納付がなくなるなどが原因で、トータルでは月間8万円以上の差額が発生します。 ■老後は教育費の負担がなくなるケースが多い 老後は負担が軽減される支出が多くなりますが、全く負担がなくなる支出もあります。それは、子どもにかかる教育費です。 多くの世帯では、子どもが高校や大学を卒業して社会人になると、それまでかかっていた教育費の負担がなくなります。私立大学など高額な教育費がかかっていた場合ほど、教育費の負担がなくなる恩恵は大きいでしょう。 ■老後の平均的な家計収支 老後の支出は減る傾向にある一方で、収入も含めるとどのような収支になるのでしょうか。同調査によると、65歳以上夫婦のみの無職世帯での平均家計収支は以下のとおりです。 ◆実収入 ・24万6237円 ◆支出 ・26万8508円(不足分2万2271円)