【エリザベス女王杯】スタニングローズV! Cデムーロが復活エスコート「最後はいい脚使ってくれた」
強い女王が帰ってきた!「第49回エリザベス女王杯」が10日、京都競馬場で行われ、3番人気スタニングローズが好位から抜け出し、2着ラヴェルに2馬身差で快勝した。初コンビを組んだクリスチャン・デムーロ(32)に導かれ、22年秋華賞以来の勝利で、勝ち時計2分11秒1は01年トゥザヴィクトリーの記録を0秒1更新するレースレコード。高野友和師(48)はショウナンパンドラ、レイパパレ、ナミュールを合わせ、牝馬で6度目のG1制覇(牡馬はジャンタルマンタルで2勝)となった。 鮮やかな復活劇だった。スタニングローズが22年秋華賞から2年余り勝てなかったとは思えないほどの強さ。直線で先頭に立ち、左ステッキを入れられるとグイグイと伸びて後続を突き放していく。C・デムーロは勝利を確信すると、左手で首筋をポンポンと叩き、パートナーをねぎらった。「凄くうれしい。反応が速かったですし、最後はいい脚を使ってくれた」と声を弾ませた。同じくテン乗りだった22年ジェラルディーナ以来の当レース2勝目で仕事人ぶりを見せつけた。 スタートを決めて好位外めへ。リラックスした走りで流れに乗り、鞍上が3角過ぎにゴーサイン。手綱越しに抜群の手応えを感じていたからこその積極的なスパートだった。「後ろの馬が相手だと思っていて、これならいけると思った」。断然人気のレガレイラが馬群で伸びあぐねたのと対照的にセーフティーリードを保ち、2着ラヴェルに2馬身差をつけてゴールした。 所用のため不在だった高野師に代わって報道陣に対応した小川陽助手も万感の表情。「ホッとしました。調教通りのパフォーマンスがやっと競馬に結びついたかな。調教ではずっといい動きをしていたんですけど」と胸を撫で下ろした。 3歳春にオークス2着、夏を越して秋華賞で大輪を咲かせた。ただそこから待ち受けていたのは長い低迷期だった。昨年のヴィクトリアマイル12着後には左前脚の腱周囲炎で休養。10カ月半ぶりに復帰した大阪杯(8着)を経て、ヴィクトリアマイル(9着)、クイーンS(6着)でも結果が出なかった。ただ、粘り強く復調を待ち、陣営は前走後に上昇ムードを感じ取っていた。小川陽助手は「前走は(57キロの)重量を背負っていたのもありますしね。レース前の雰囲気としては、ここ最近の中ではかなり良かったと思います」と目を細めた。「最終追いで初めてクリスチャン(デムーロ)に乗ってもらい、満足してもらったので。本来はこれぐらいの走りができると思うんです」と続け、胸を張る仕上がりで送り出せたことが復活につながった。 今週マイルCSで連覇が懸かる僚馬ナミュールと同じ5歳牝馬。C・デムーロは「フィジカル、コンディションが凄く良かった。今後もいいレースができる状態だと思います」と太鼓判を押した。この先のプランは未定ながら、またナミュールとの対戦もあるかもしれない。この2頭で秋華賞ワンツーを決めた高野厩舎の黄金世代。同期に最高の形でバトンをつないだ。 ◆スタニングローズ 父キングカメハメハ 母ローザブランカ(母の父クロフネ)19年1月18日生まれ 牝5歳 栗東・高野厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績17戦6勝(重賞4勝目) 総獲得賞金4億2621万6000円 馬名の由来は魅力的なバラ。