総選挙を左右するか?「テレビよりYouTube」戦略 Googleも積極的に後押しする「選挙系YouTube」
インドネシアではナジワ・シハブという大手メディアを辞めた記者が個人で始めたチャンネルが登録者数1000万人にもなっている。大統領選挙についてのディベートをライブ配信し、800万回以上再生されていた。 フェルドマン氏は日本の例も示してくれた。都知事選挙におけるReHacQとNewsPicksの動画だ。韓国のシュカワールドやインドネシアのナジワ・シハブより少ないが、登録者数は100万人を超えており、選挙に対して少なからぬ影響力を持っていたと思える。YouTubeが選挙に影響を及ぼし始めたのは、グローバルな波に乗った現象なのだ。
■Googleも積極的に後押し Googleとしても、YouTubeが選挙に影響を与えていることを肯定的に捉えているようだ。フェルドマン氏の肩書には「News & Civics」とあり、報道と市民活動をサポートするための役職だ。YouTubeというと、無名の若者が面白いことを見せるエンターテインメントの場だととらえがちだ。それはもちろん一つの側面だが、選挙との関わりを知ると、政治啓蒙の場にもなりつつあるとわかってくる。
フェルドマン氏が示してくれたスライドには、真ん中に「Building Trust」とあった。正直、YouTubeがTrust(=信頼)が大事だと言うのは驚いた。ユーザーに勝手に使わせて広告収入さえ入ればいいのだろうと考えていたからだ。だがYouTuberが「アカバンされた」事例は前々から聞こえてきていた。YouTubeのルールに反するとアカウントを削除されるのだ。これもBuilding Trustの一環だろう。
フェルドマン氏は「質の高いコンテンツをお勧めする」こともTrustのために必要だと強調していた。政治的な内容でも、良い動画なら積極的にお勧めする方針なのだ。また、質が低いもの、ヘイトのように社会的に問題のある動画はお勧めされない。YouTubeでお勧めされない動画は、存在しないも同然だ。 こうしたテクノロジーも駆使して、YouTubeを質の高い政治啓蒙の場としても広く使ってもらいたいそうだ。それがユーザー、視聴者、広告主にとって良いコミュニティになるとの考え方だろう。