【有馬記念】「ドウデュースは色んなドラマがある。マキバオーみたいやな」名物オーナーが心境明かした
◆第69回有馬記念・G1(12月22日、中山競馬場・芝2500メートル) 第69回有馬記念・G1(22日、中山)でラストランを迎えるドウデュースのカウントダウン連載「ザ・ファイナル」は、馬主(名義はキーファーズ)の松島正昭さん(66)を単独インタビュー。武豊と凱旋門賞を勝つという夢を掲げる名物オーナーが、ざっくばらんに心境を明かした。 【データで見る】ドウデュースの血統、戦績 有馬記念でドウデュースがラストランを迎える。秋古馬3冠もかけた大一番を前に、気持ちは高揚するばかりだ。 「至福のときやろ。競馬サークルで、こんなにいい時間はないんじゃない? 緊張もしないし、ワクワク感しかない。挑戦することが楽しい」 2歳から4年連続でG1勝利。しかし、22年凱旋門賞での大敗、23年ドバイ・ターフの出走取消など、苦難も多かった。 「ドウデュースは勝った、負けたがあって、色んなドラマがある。マキバオーみたいやな。漫画にしてくれって、いつも思うねん。『みどりのドウデュース』って」 武豊にとって初勝利となった21年朝日杯FS。人馬ともに復活Vを果たした昨年の有馬記念。これまで、ドラマチックな勝利を挙げてきた。 「あの馬って持っとるよな。ええときに、ええことする。ドウデュースはウケを狙ってるよな。武さんと一緒。だからドウデュースと武さんって、相性ええんやと思うわ。『ここ頑張れ』言うたら、ほんまに頑張る。凱旋門賞(19着)はもうちょい頑張ってくれな(笑)」 ジャパンCの結果次第では、そこで引退するプランも浮上していた。 「そういう話もあったけど、負けたら有馬で復活。勝ったら勝ったで、行かなしゃあない。ダービーを勝った後の、凱旋門賞と一緒。行かなしゃれにならん」 結果的に、史上3頭目の秋古馬3冠への挑戦権を得た。武豊ですらまだ達成していない偉業だ。 「こうなればいいなと想像はしてたけど、ジョッキーがこんなに脚光を浴びて、偉業に挑戦するのはうれしいな。歴史にその名前が残るやん。武さんにもう一つ勲章ができるやん」 ドウデュースも連戦の疲れを見せず、好調を保っている。 「大変やで、毎月、毎月東京行って。車で東京行ったら、人間でもしんどい。それも立ったまま。なんかええもん食わしたって(笑)」 今月6日には、有馬記念の後に、引退式が実施されることも発表された。 「もう引退式の方が心配。3万人は来るで。その前であいさつする。どうしたらええ? みんな残ってや。武さんに歌ってもらおか、(キタサンブラックの馬主で歌手の)北島(三郎)さんのとき(17年の有馬記念勝利後の引退式)みたいに」 同時に、社台スタリオンステーションで種牡馬入りすることも発表された。ライバル関係だったイクイノックスは1年早く種牡馬入り。くしくも、今年はドウデュースの母であるダストアンドダイヤモンズと交配した。 「(ドウデュースが)イクイノックスのお母さんと交配したら、おもろいやろ。それで、ドウデュースのお母さんとイクイノックスの子供と勝負したら、おもろいやろ。そんな楽しみが増えるよね。天皇賞・秋とジャパンCを勝ったから、そういう話ができる。だから、色んな意味でこの2戦は大きい。ドウデュースの価値も人気も上がった」 いよいよドウデュースの物語も幕を閉じる。 「ノーザンファーム、友道厩舎のおかげです。当然ジョッキーも。僕も幸せやったし、みんなが幸せになる。3年間、ほんまにええチームやったわ。その結果やと思う。本当に感謝しかないです」(取材、構成・水納 愛美) ◆『みどりのマキバオー』 「週刊少年ジャンプ」で94~98年にかけて連載された、つの丸原作の競馬漫画。小柄で白毛、ロバのような見た目をした主人公・ミドリマキバオーが、仲間やライバルのカスケードと出会い、競走馬として成長していく物語。今年で連載30周年を迎え、16日からスピンオフショートアニメ『どこでもマキバオー』がYouTubeなどで配信されている。
報知新聞社