【解説】直接海底で「地震・津波観測」 南海トラフ巨大地震震源域の観測空白域にシステム整備完了
■高知沖から日向灘の“空白域”でも観測開始へ
静岡県から宮崎県沖にかけての南海トラフ巨大地震の震源域。すでに静岡県沖のエリアに気象庁の海底観測システムがあります。また三重県沖から高知県東部沖は、DONET1とDONET2と呼ばれる観測装置が展開されています。今回、N-netが高知沖から日向灘にかけて設置されることによって、南海トラフの空白域となっていたエリアでも海底での地震や津波観測がおこなわれることになります。
■整備によって地震は約20秒 津波は最大20分早く検知へ
今後、整備される沿岸に近い部分とあわせて運用することで、南海トラフ沿いで発生する地震を約20秒、津波を最大20分程度早く検知できるようになるということです。 陸地にある地震計で地震のP波の揺れをキャッチするよりも、沖合で観測できれば早く緊急地震速報を出すことができます。気象庁は地震発生後3分以内に津波警報を出しますがこの時間は変わりません。ただ海外など遠くで発生して日本にやってくる津波は、沖合に設置される水圧計によって、早くキャッチできます。沿岸にある津波検潮所での観測よりも早く、津波の高さが分かれば、予想される高さの修正や、津波警報の切り替えなどにも役立てられるようになるということです。