急失速! "賛否両論の名将"黒田監督が率いるFC町田ゼルビアで何が起きているのか?
シーズン前半は不動の左SBとして定位置をつかみ、最近は右SBとしてプレーすることも増えているDF林 幸多郎は夏以降、それまでなかった形からの失点があることについてこう語る。 「これまで大事にしてきたものが徐々に崩れ始めているのは少し考えないと。攻撃面では味方と合わないシーンが増えている。相手に対策され、結果が出ないことで自分たちのサッカーに疑いを持つじゃないですけど、今まで自信を持ってやりきれていたことができなくなってきている部分があるのは感じます」 24節の横浜FM戦で今季リーグ初出場、敗れた33節の川崎戦では実に9年ぶりとなるJ1でのゴールを挙げるなど、シーズン終盤に来て存在感を発揮しているチーム最古参、40歳の大ベテランFW中島裕希は、チームの置かれた状況についてこう話す。 「これまで長くJ2にいた町田が、J1で優勝争いをしているのは変な感じもします(笑)。ネットでいろいろ言われ、注目されるのはいい。ただ、それで試合に集中できないのはちょっと......。 優勝すれば、そういう批判的な人からも称賛されるでしょうし、そういう意味で勝って(評価を)ひっくり返せたら気持ちいい。リーグ終盤になってなかなか点が取れていないが、やっぱりリスクを負わずにロングボールを多用するシンプルな攻撃一辺倒だと相手もラクだし、そこは考えなきゃいけない。 でも、残り試合が少ない中、あまり細かいことを言っても迷いが出てしまうだろうし、やっぱり町田らしく、全員でハードワークするしかないのかも」 首位の座を明け渡し、なかなか勝ちきれない現状、逆転優勝にはミラクルが必要だが、J1初挑戦ということを考えれば、ここまでの町田の戦いぶりにケチをつけるのはナンセンスかもしれない。 「この世界、経験が長いほど外国人選手やベテランに気を使ったりするのかもしれないけど、(選手として)Jリーグ経験がない俺のアプローチはいっさい忖度も遠慮もなし。言いたいことは言わせてもらっている」 自ら強い言葉を発しつつ、結果を示しながらJリーグに新たな風を吹き込んだ町田の黒田監督。残り4節、どんな戦いを見せてくれるのか、最後まで注目したい。 取材・文/栗原正夫 写真/スポニチ/アフロ 日刊スポーツ/アフロ