「セックスレス」と「妻の不倫」、離婚の原因で多いのは…「家庭内別居」の38歳男性会社員の実体験
「破綻する前」に交際を始めた場合は…
そこで光輝さんは「話は分かった。でも、ちょっと身勝手すぎないか。離婚してから付き合うのがルールだろ?」と切り返しました。しかし、妻は「いつまでも光ちゃんとのことを引きずりたくないの。離婚してから探すんじゃ、一人の時間が寂しいでしょ?(離婚)届けを出したら、すぐに彼と一緒になるつもりだから。」と圧力を強めてきたので、光輝さんはつい強い言葉で言い返してしまいました。「僕はお前のやっていることは不倫だって言いたいの!今さら別れろなんて言わないよ。でもルールを破ったなら、それなりの報いが必要だろ……慰謝料とか!」と。 しかし、妻は光輝さんの言葉を一笑に付す感じで「はいはい、そうきましたか…言っておくけれど、彼とは浮気じゃない、本気だから!」と言い返してきたそうです。 妻の言う通り、不倫をしたのが婚姻関係の破綻した後なら慰謝料の対象になりません。しかし、離婚を切り出すと同時に破綻するのでしょうか? 裁判所の見解では破綻の有無に影響を与えるのは別居期間です。具体的には少なくとも6年は必要です。(東京高裁・平成14年6月26日判決)もちろん、破綻を認定するのに必要な要件は別居期間だけではありませんが、妻が相手の男性と付き合い始めたとき、光輝さんと妻はまだ別居していなかったので、当時、婚姻関係は破綻していませんでした。破綻する前に交際を始めたのだから、それは不倫です。そして慰謝料の対象になります。
結局、慰謝料を払わせることに成功したが…
妻は「レスなんだから、しょうがないでしょ? 光ちゃんも外で遊んできても良かったのに」と軽口を叩いたそうです。夫婦がセックスレスだという理由で不貞の慰謝料を減額することを認めた判例を筆者は知りません。筆者の経験上、夫婦がレスではないのに不倫の相談に来るケースはほとんどありません。つまり、大半はレスです。 もしレスを理由に慰謝料が軽くなるのなら、慰謝料の相場が下がってしまうからだと考えます。そもそも光輝さんに拒まれたので寂しくて他の男性になびいてしまったのならともかく、拒んだのは妻の方です。 そこで光輝さんは「レスの原因を僕に押し付けるのは筋違いだろ?!」とやり返したのです。そうすると妻は「光ちゃんのことを早く忘れたいの。彼にも待ってもらっているし……払えば離婚してくれるんでしょうね」と確認しつつ、「30万なら」と言い添えました。光輝さんは「わかった、それでいい」と答えると、慰謝料を払うことを約束する見返りに、記入済の離婚届を手渡したのです。