顔見て話す大切さ訴え 父との別れの後悔から 旭ケ丘中学校の宮下さんが少年の主張で知事賞【長野県飯田市】
長野県飯田市旭ケ丘中学校3年の宮下心さん(15)が「第46回少年の主張長野県大会」で最高賞の知事賞を受賞した。22日には市役所を表敬訪問し、佐藤健市長らに受賞を報告した。 少年の主張は、生徒が身の回りのことなど自由にテーマを設定して意見を述べる。県大会は9月に長野市で開かれ、各地区の代表者8人が壇上で発表した。 宮下さんの作文のタイトルは「いってらっしゃい」。小学3年の頃に突然の心筋梗塞で亡くなった父に、その日の朝に目を見て「いってらっしゃい」と言えなかった後悔を書いた。 普段は相手の目を見てあいさつするという宮下さんだが、寝坊して学校の準備に追われていたため、この日だけ顔を見ずに出勤する父を見送った。これが父との最後の会話となり「何で目を見てあいさつしなかったのだろう」と6年間ずっと悔やんできたという。 発表では冒頭に「みなさんは家族や友達とのあいさつや会話を大切にしていますか」と問いかけ、自身の経験と後悔を語った。いつ大切な人との別れがやってくるか分からないとし「人と話すときには相手の顔を見て話してほしい。もう父と会話することのできない私からの願いです」と訴えた。 この日、賞状を持って市役所を訪れた宮下さんは「私がこの経験を話すことで同じような後悔をする人が減ったらうれしい」と語った。 同伴した国語科の代田理恵教諭(48)は当時の宮下さんの担任だった。「宮下さんが抱えていた思いが素直に伝わってきた」といい「自分の経験と思いを正直に話しているから言葉に力がある」と内容をたたえた。 佐藤市長は「つらい経験をした宮下さんだからこそ伝えられること。今後も多くの人に伝えてほしい」と話していた。 宮下さんは県代表として関東甲信越静岡ブロックの審査に進み、通過すると全国大会に出場する。