「輪島は原点」再起願う 漆作品の販売で支援、奈良
石川県輪島市で輪島塗の技術を学んだ奈良県出身の漆芸家2人が、能登半島地震の復興を後押ししようと奈良市の世界遺産・興福寺で10~12日、販売会を開く。制作した漆塗りの食器やアート作品約80点を展示販売し、収益を寄付する。「輪島は技術を学んだ原点。時間がかかっても漆芸を伝える地として再起してほしい」とエールを送る。 2人は、奈良県内で制作に取り組む藤岡正祥さん(48)と阪本修さん(44)。石川県立輪島漆芸技術研修所で漆塗りを学んだ仲間だ。研修所は現在、地震の影響で大半の研修生が輪島を離れているなどとして、休講措置を取っている。 被災地のため何かできないか考えていたところ、同じように考えていた阪本さんの知人、興福寺の辻明俊執事長から声がかかり、イベント案を練った。辻さんは「お寺は仏具や大仏などに漆技術が用いられており、縁が深い。被災地にゆかりのある人と力を合わせたかった」と話す。 輪島塗の事業者でつくる輪島漆器商工業協同組合によると、大半の工房や店舗が被災し、全体的な製造再開には1~2年以上かかる見通しだ。