「日経平均4万円」の導火線に火が着くのはいつ? 「日本株ブーム」到来の最後のトリガーの見極め方
しかし、大衆心理の逆を行くには、大衆心理を知る必要があります。大衆心理はどちらの方向に向かっているのか、どんな銘柄に魅力を感じているのか。知っておいて損はありません。 ■今の日経平均株価はまだまだ割安 日経平均株価がバブル最高値を更新したことで、「現在の状況もバブルで、いつか崩壊するのではないか」と考える人もいるかもしれません。しかし、それは明らかに間違っています。 というのも、今では考えられませんが、バブル期の日本企業のPERの水準は70倍に達していたからです。PERとは「株価収益率」のことで、1株あたり純利益に対し、株価が何倍になっているかを示す指標です。PERが高ければ高いほど割高、低ければ低いほど割安ということになります。 現在の日本企業のPERは16倍ほどなので、バブル期と比べるとはるかに割安といえます。これはバブル期と比べて、日本企業の業績がはるかに上がっていることも表しています。 実際、おもな上場企業1430社の2024年3月期の純利益は47兆円を突破、3期連続で過去最高を更新する見通しです。株価だけが上がっているのではなく、業績もしっかり追いついているということです。 そう考えると、株価はまだまだ上値余地がありそうです。今後、日経平均株価4万円を突破し、5万円を目指すことになってもおかしくありません。そうなれば、まさに「日本株ブーム」の到来です。 ■海外投資家の「日本買い」が最後のトリガーになる ただし、さらに上へと向かうには、最後のトリガーが引かれなくてはなりません。海外投資家が、本格的に「日本買い」を始めることです。日本の市場の7割は海外投資家が動かしています。アベノミクスも、海外投資家の「日本買い」で株価が大きく上昇しました。
「アベノミクス元年」である2013年は、海外投資家が日本株を15兆円買い越しています。この海外マネーの流入が、アベノミクスの導火線に火をつけました。私もこのとき、大きく資産を伸ばしました。2012年に3000万円ほどだった資産は、2016年には1億円を突破。私だけでなく、このときたくさんの「億り人」が誕生しました。 その後、海外投資家は利益確定のため売り越しに転じます。2015年からの8年間で、累計売り越し金額は15兆円にのぼりました。それが2023年以降は、ふたたび買い越しに転じ、6兆円の海外マネーが日本に流入しています。 そして2024年。日経平均株価が史上最高値をつけた2月まで、海外投資家は日本株を6週連続で買い越していました。彼らの活発な動きが、株価を押し上げたといえます。 しかし、彼らの動きを見ていると、まだまだ疑心暗鬼のようです。日銀はこのままマイナス金利を解除して、利上げしていくことができるのか。デフレ脱却に成功し、インフレに移行できるのか。東証(東京証券取引所)が取り組んでいる「PBR1倍割れ企業」に対する改善要請は、本当にうまくいくのか。 新NISAによって、どれだけ個人投資家の動きが活発になるのか。総理大臣をはじめ、政治の安定化も見ているでしょう。これらがクリアになってきたら、海外投資家は本腰を入れて「日本買い」を始めるでしょう。 そのときは、アベノミクスのときのように子飼いのメディアを使って、「海外投資家が日本株を爆買いしている」とか、「営業拠点を東京に移した」といった、「日本上げ」のアナウンスを連日のように流すでしょう。もしそうなれば、ふたたびアベノミクスのような、あるいはそれを超えるような相場になっても不思議ではありません。 みなさんも、海外投資家の動きを注視するようにしてください。 ※投資は個々人の判断と責任において行うのが原則です。
上岡正明