「AIで延長した動画は報道に使える?」Adobe、生成AI機能に透かしシステム導入しコンテンツの真正性と作業効率化の両立へ
■著作権的に問題にないデータだけを学習 生成AI画像の学習データについてはどうだろうか? 生成AIの仕組みを理解している人なら、学習データに使っても著作権侵害にならないことはわかっていると思う。 学習はコピーとは違う。人が絵を見て記憶するのと同じように、その絵を「絵」たらしめている要素を抽出して学習していくのだ。 もちろん、人間が描いた絵と同じように、既存の著作物に酷似した絵が生成されることはあり得る。そして、人間の場合と同じように、その既存の著作物に酷似した絵を利用(出版する、ネットに公開するなど)したことによって、著作権侵害が起こる可能性はある。生成するかどうかではなく、あくまで利用者が利用するか否かが問題なのである。
しかし、著作権者にはまた「学習データに使われない権利」というものもある。 だから、アドビの生成AIは、Adobe Stockというレンタルフォトサービスのためにアドビ自身が権利を持ってる画像と、ウェブに公開されており著作権が切れている人類の公共財となっている画像のみを使って生成AIの学習を行う仕組みになっている。また、Adobe Stockに画像を提供している人には、利用頻度に応じて対価が支払われるという。
■あくまでクリエイターのサポート アドビは生成AIの利用も含めて、あくまでクリエイターをサポートするというスタンスである。 今後、生成AIの普及によって、必要とされるコンテンツの量は2年で5倍に増大するという。 クリエイターはさらに需要が増し、仕事は増える。クリエイターはこれまで以上に効率的に多くの仕事をしなければならなくなる。その仕事量の増大を支えるのが、アドビのクリエイターツールに追加される生成AIによる機能……というわけである。
村上 タクタ :編集者・ライター