ロンドンとブリュッセルで痛感した円の圧倒的弱さ。海外旅行がこんなにコストフルな本当の理由
11月初頭から1週間ほどかけて、ロンドンとブリュッセルを訪ねた。 近頃は日本と海外の物価格差を嘆く投稿をソーシャルメディアなどで時々見かけるが、筆者もそれらと全く同じ感想を抱いた。 【全画像をみる】ロンドンとブリュッセルで痛感した円の圧倒的弱さ。海外旅行がこんなにコストフルな本当の理由 よく引き合いに出される喫茶店チェーンのコーヒー1杯の値段で言えば、ロンドン市内の至るところにあるプレタ・マンジェ(Pret A Manger)のアイスコーヒー(Iced Black Americano)が3.4ポンド、約663円(1ポンド=195円換算)だった。 正確な量は分かりかねるが、おそらくスターバックス(Starbucks)のトール(350ml)程度だろう。実際、ロンドン市内のスターバックスでもアイスコーヒー(Iced Caffè Americano)は3.5ポンドほどだったから、大きな齟齬(そご)はない。 日本のスターバックスでは現在、トールサイズのアイスコーヒーを注文(店内飲食時)すると475円(税込み)なので、ロンドン市内の方が約40%高い計算だ。 ちなみに、プレタ・マンジェ、スターバックスともにロンドン市内の店舗で販売しているバナナは1本0.7ポンド(約136円)だった。日本のスターバックスは110円なので、こちらも25%ほど高い。 仮に円の対ポンド相場が即座に25%切り上がって1ポンド=150円になったとすれば、3.4ポンドのアイスコーヒーは510円、それでも日本国内での値段を7%超上回る。 もちろん、実際には為替相場が短期間で25%も切り上がるケースは稀(まれ)なので、このイギリスと日本の物価格差は、為替相場の問題と言うより純然たる値札の違い、つまりイギリスの方が絶対的に物価が高いと考えるべきだろう。 なお、ブリュッセル市内の物価はロンドンより若干低いように感じられたものの、日本との比較ではやはり著しく高かった。 国外への出張や旅行の際に実感するこうした割高感はしばしば「円安の副作用」と説明されるが、上で指摘したように為替相場変動の結果と考えるのは無理があって、一義的には日本の名目賃金が海外より低いからこそ、こうした格差が生じていると考えざるを得ない。