早大のエースRB、東松コーチの教えで急成長 「TDへの最短ルート・スピードの意識」でリーグダントツの10TD
大学2年でSFからRBに転向、東松コーチに学ぶ
大学1年まではSFの準1本目のような位置付けで、シチュエーションによっては先発で試合に出た。これはチームの事情によるところもあって、大学2年に上がるタイミングで、コーチに本来やりたかったRBへのコンバートを申し出た。それからは、今春卒業した花宮圭一郎と安村充生に次ぐ3番手のRBでやってきた。 今年になって、追い風もあった。RBコーチに東松瑛介さんが加入したことだ。日大三高、立命館大学、ノジマ相模原とあらゆるステージで活躍した東松さんに、RBに必要なスキルの多くを学んでいるという。 「東松さんが来てくれてなかったら、今日こんなに走れてないと思うくらい変わったと思っています。去年までは好き勝手に走ってたんですが、今年は東松さんに教えてもらっているTDまでの最短ルート、スピードを落とさない走りを常に意識してやっています。そのためにOLとのコミュニケーションや、POA(Point Of Attack)を大事にして踏み出すことを大事にしています」 去年までの「たまたま出ていたラン」から、「出るべくして出るラン」への変化を実感しているという。 高岡勝監督は、安藤の走りについてこう評価する。「意外性があるタイプで、10言ってそのまま遂行するのではなく、言ったことは8なんだけど12パフォーマンスする、というような感じなんです。そういう意味では、相手のディフェンスも守りにくいんじゃないかなと思いますね。うちのエースランナーとして十分な働きをしてくれてるので、けがなく頑張ってほしいです」 その口ぶりからは、大きな信頼と期待が伝わってくる。
甲子園で「背番号7」の先制TDの再現を
甲子園ボウルへと続く全国トーナメントへの出場が決まった。いま、安藤は何を思うのか。「春、関西大学と試合をして、関西との実力の違いを初めて肌で感じたんです。あの壁を越えていかないと甲子園へはいけないので、そこを勝ち切れるようにしっかりと準備していきます」 RBとして自信を持っているのは、スピードだ。「得意なトスプレーがあるんですが、それはスピードがあってこそ出るプレーなので。やっぱり自分の持ち味で勝負したいですね」 今年からは安藤が「エース番号」と話す、背番号7をつけている。この番号は2019年に卒業したRBの元山伊織さんがつけていた番号で、エース格のRBがつけるようになったのは彼からだ。この話を安藤にすると、こう返ってきた。 「もちろん知ってます。YouTubeでプレーを見たことがあって、『早稲田の7番すげーっ』てなったんです。直接話したこととかはないんですが、アイシールドがカッコよくて、もう動画からイケイケのRBってことが伝わってきて。カットがキレキレな走り方もいいなって思いました」 背格好やプレースタイルも自分に近いと感じ、意識するようになったという。そして続ける。 「でもこの話をすると、コーチからは、不必要なセレブレーションとかが多くてヤンチャだったから、ああいう風にはなってほしくないって言われるんですが......(苦笑)。そこは、見習わずに......(笑)」 あの時の7番は、甲子園ボウルで関西学院大学を相手に先制TDを決めた。今年の早稲田の7番は、それを再現できるか。
北川直樹