子どもの貯金盗み体を売る女性、数億円を競馬に、超大手企業の社員も…ギャンブル依存症の闇 自助グループに出会い立ち直った男性が見たもの
立ち直ったきっかけは
ー立ち直るきっかけは何だったのですか まずGAに参加したことで、自分と同じようにギャンブルから逃れられない人たちがいることを知ったのが大きかったです。それまではギャンブルをしてしまうたびに、勝っても負けても自分を責め、ひとり苦しみを抱えていました。 GAは言いっぱなし、聞きっぱなしが原則で自分の話しが論評されることはありません。GA参加者の体験談を聞くことで、ほかにも苦しんでいる人がいることを知り、自分の経験を吐き出すことで、自分が抱えていた荷物を少しずつ下ろしていく感覚に似て、ゆっくりと心が楽になっていった記憶があります。 ただ、完全にはギャンブルを辞められず、スリップを繰り返していましたが、ギャンブルに行く回数は明らかに減っていきました。 その次の段階として、ギャンブル依存症以外に熱中するものが見つかったことが大きかったと思います。勤務する会社で管理職に昇進したことで、外回りの営業から内勤での管理業務が中心になりました。それまでは外回り中にパチンコやスロットをやっていたのですが、外に出られなくなったので、毎日やっていたギャンブルが土日しかできなくなりました。 さらにその会社を退職し、独立起業してからは、土日関係なく働くようになったため、相対的にギャンブル熱が下がっていったのです。精神科の治療方法として、ギャンブル依存症患者の目を、別のものに向けさせるという手法があるそうですが、結果的に、私の場合はこの治療法と同じようなことを自分に課していたということになるでしょう。 ただ、ギャンブル依存症は完全に治癒することがないといわれています。私は今日一日やめ続けているだけにすぎないのだと思っています。 ー印象に残っているエピソードは とある女性のお話でしょうか。彼女はギャンブルを止められず、なんとかして種銭を用意しようと、子どもの貯金を盗んだり、時には自らの体を売っていたと語ってました。見た目は全く普通のお母さんという印象で、そんな風には見えませんでした。その頃は参加歴が浅かったこともあり、ギャンブルって本当に怖いんだな、と強く印象に残ったエピソードです。 また、ある専門職の人は、資産運用や投資によって得た数億円の利益を競馬につぎ込み、老後資金を全て失ってしまったという話をしていました。彼は夜、家族が寝静まるのを見計らって、家の中や事務所に家族が隠したお金を探し集めていたそうです。ある時、いつものごとく事務所でお金を探し回っていると、暗がりから、「お父さん、もういいでしょう?」と奥さんに語りかけられたことをきっかけに「底つき」したとのことでした。 自分も含めて参加者の体験談を聞く限り、どんな人にもギャンブル依存症になる可能性は潜んでいるのだと感じます。もし自身がギャンブルをやめられず、そのことに苦しさを覚えているのであれば、自助グループに参加してもらえればと思います。 (まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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