哲学的対話、他流試合…考える仕掛けが成長の原動力 偶然ではない東大20人合格 教育の力 洗足学園(中)
他流試合の成果は、始業式や終業式などで全校生徒の前で報告する。玉木氏は「学校という狭い範囲から飛び出し、より社会に近いところで体験を積む。12歳から18歳の間にその経験をすると全然違う。タネがないところに根っこは張らないし、芽も出ない」と語る。
■進学の幅が「私立の価値」
成長を促す同校の取り組みで礎になっているのが、生徒が考える授業だ。例えば数学の授業では、校内にある高さ3メートル以上ある立像を、脚立やメジャーを使わずに、ミリ単位まで計測する。考えていくうちに、生徒は相似の概念にたどり着く。ICT(情報通信機器)も積極的に活用している。そうした中で、確かな進学実績も積み上げられてきた。
玉木主任が「一番分かりやすい構図」として挙げるのは、帰国子女の生徒の進学実績。東京大をはじめ、国立大など多岐にわたり、英語だけで勝負して入れるところではない。玉木氏は「どこの有名大に入ったとかではなく、進学の幅をみてほしい。それこそが私立学校の価値なんです」と強調する。(大谷卓)
■洗足学園中学高等学校
昭和51年、洗足学園第二高等学校と同第二中学校を洗足学園大学附属高等学校・同附属中学校と改称。平成14年に「付属」を外し、現在の校名となる。社会で活躍するために必要な要素として「高い学力」「豊かな感性」「コミュニケーション能力」「広い視野」を養うことを掲げる。令和5年度の合格実績でみると、国公立大で東京大15人、横浜国立大12人、私大で明治大137人、早大101人、上智大91人、慶応大81人など。海外の大学にも計10人が合格している。